こんにちは、りゅーせいです!

日本人口の減少や農業の高齢化等の影響により、個人農家の存続がいよいよ厳しい状況になってきました。そんな中、近年「集落営農」が全国的に広がりつつあります。集落営農が広まることによるメリットやデメリットはご存知でしょうか?

今回は集落営農の魅力や法人化について紹介します。

目次

  1. 集落営農とは?
  2. 集落営農の魅力
  3. 集落営農の組織化・法人化するために
  4. 組織化・法人化した場合のメリット・デメリット
  5. さいごに

集落営農とは?

集落営農とは、集落を単位として、農業生産過程の全部又は一部について共同で取り組む組織をいいます。
引用:農林水産省「集落営農について」

農業の課題として、真っ先に挙げられるのが「農家関係者の高齢化」です。農業は体力仕事なので、高齢者にとっては身体的にも厳しく、特に個人経営では一人で重労働の農業を強いられています。一方で、集落のみんなで助け合えば個々の負担が軽減することができ、コスト削減効果などのメリットも受けられるため、農業従事者の高齢化問題を打破する一手となり得るのです。

2018年、全国には1万5111団体の集落営農があるとされており、2005年に比べ約1.5倍に増加しています。

集落営農の魅力

集落の仲間と協力することで、1人あたりの重労働が軽減されます。

  1. 労働工数の軽減
  2. 高価な農業機械 1人あたりのコストが削減
  3. 様々な個人農家や若者就農者の参加により経営のバリエーションが増える
  4. 農地貸し借りや農作業を依頼しやすい環境のため耕作放棄地が減少する

集落営農の組織化・法人化するために

集落営農を始めるためには、まず法人格を取得する方法が一般的です。資産が構成員の資産から独立している法人経営は、外部からの信頼が高くなることで資産調達がしやすくなるメリットがあります。個人農家よりも組織化・法人化することで、社会的信用が高くなるということです。

法人化の手順

  1. ビジョンを明確する
  2. 役職を選任する
  3. 運営規約を作成
  4. 法人の申請(自治体などの窓口で相談可能)

任意組織から法人格を取得する場合、法人化への費用を補助したり、経営に必要なノウハウの研修に参加するための費用を支援しています。

組織化・法人化した場合のメリット・デメリット

組織化・法人化によって得られる経営上、制度上のメリットがいくつかあります。

(1)家計と経営の分離による経営体としての確立

  • 生活資金の定期化や定額化
  • 労務の対価として適切な給与支払い

(2)経営の合理化

  • 従事者や構成員の労働意欲向上
  • 経営上の利益や効率性の追求、従事者や顧客への意識向上
  • 計数管理の明確化や各種法廷義務などを伴うことで社会的信用も高まり、取引先の数や取引の規模の拡大

(3)人材の確保と育成

  • 雇用契約の明確化によって、安定した人材確保が可能
  • 経営ノウハウや農業技術を少ない初期負担で習得

(4)組織化・法人化制度のメリット

(1)報酬の給与所得化によって所得者は給与所得控除を受けられる
定率課税の法人税の適用、使用人兼務役員賞与の損金算入、退職給与などの損金算入、欠損金の7年間繰越控除(青色申告の法人のみ)

(2)助成金・補助金の活用
農業経営基盤強化準備金、譲渡所得特別控除

(3)制度融資
認定農業者に限り、制度資金の融資限度額が個人よりも拡大し、その他の補助金や助成金の制度を利用することができる

(4)社会保障
農業従事者の福利厚生の増進を促進し、就業規則が整備され就業条件が明確化することで、雇用の安定化に繋がる

(5)農地取得
農地保有合理化法人が農地などを現物出資することで、農地取得に関する負担を軽減可能(農業生産法人出資育成事業)

さいごに

高齢化が進む農産業は、今後さらに集落営農からの法人化が増えていくと考えられます。しかし、農業が抱えている問題は1つだけではありません。後継者不足既得補償制度廃止などが挙げられます。組織化、法人化をしたその先を見据えて計画していく必要があるといえます。。