こんにちは、地域企画ディレクターのりゅーせいです。

国の政策で「地方創生」「地域活性化」といった取り組みが始まってから、数年の月日が流れました。日本各地域の取り組みは成果をあげた例も多少目に付くようになりましたが、依然として各地域で失敗事例も数多く報告されています。

多額の助成金、交付金(私たちの税金)が国から地方へと渡り、その先はまるで無かったかのようにどこかへ消えてしまっているのも事実です。本格的に地域活性化に乗り出したい方や成功事例を知りたい方、既に先陣を切って行動されている方も、下記の成功事例の視察や分析をしてみてはいかがでしょうか?

今回は、地域創生や地方創生に力をいれて、実際に成果を出している市町村を3つご紹介いたします。

目次

  1. 島根県|海士町(隠岐諸島)
  2. 徳島県|神山町
  3. 岩手県|紫波町
  4. 地域創生のこれから
  5. まとめ

島根県|海士町(隠岐諸島)


https://naimonowanai.town.ama.shimane.jp/amatown

地方創生を勉強する上で必ず目にする離島、島根県隠岐郡海士町。本州からかなり離れている孤島なのに過疎から定住人口増加に繋げたり、外部経済獲得に成功したりしている島です。

この海士町復興の仕掛人は、なんと行政職員!大胆な財政改革で町長や副町長らが報酬削減を決めると、一般職員も自分たちの給料をカットして、漁業分野に用いるCAS(冷凍保存)を導入。

町から本州へ鮮度を保ったまま海産物を届けることができるようになり、今では、本州と孤島の産業を繋ぐことに成功しています。

島根県海士町の知っておきたいポイント

  • 島の資源を最大限に活かし外貨獲得を目指す
  • よそ者でも受け入れる風習
  • 地域の「普通」を特徴に変えた
  • 行政職員の「熱意」

今では町の産業や教育機関などがメディアに取り上げられ、「高校魅力化プロジェクト」なる若者留学が大人気になっています。島外からの進学者も増加傾向で毎年倍率が高くなっており、簡単には入れないそうです。よそ者に対して毛嫌いすることなく、受け入れ態勢が整いつつある海士町では、新たな魅力、新しい価値を創りだすサイクルが徐々に形成されています。

山内道雄町長は「これらは挑戦事例であって、成功事例ではない」と先を見据えた言葉を残しています。施策の効果に満足せず、これからも町への可能性に期待している素敵な町長ですね。

徳島県|神山町


https://www.town.kamiyama.lg.jp/

徳島県神山町はサテライトオフィスの聖地と呼ばれている地域です。

サテライトオフィスとは、簡単に言えば、企業の本社や、官公庁・団体の本庁舎・本部から離れた所に設置するオフィスのことです。皆さんも一度は見たことであろう、川岸や縁側でPCサイトを開いて優雅に仕事している写真!あれがまさにサテライトオフィスを象徴する一枚ですね。

一度あの風景に魅力を感じて川でお仕事をしようとしてPCを開いた人もいるはず!しかし、太陽が画面に反射して全然見れないのが現実です(笑)サテライトオフィスのデメリットというには、ちょっと浅すぎるかもしれませんが(笑)

そんなサテライトオフィスに着目して町を売り出し、成功してきた神山町。各地域と比較しても企業誘致数は歴然。各地域から注目を集めています。「古民家再生」、「若者受け入れ」、「町をデザインする」といったワードを軸に、時代のニーズを先駆け、魅力的なサテライトオフィスを企業様へ提供しているお手本となる町です。

徳島県神山町の知っておきたいポイント

  • インターネット環境の整備
  • 民間主導の神山町 移住者プロジェクト
  • 多様性の尊重、寛容であること
  • 地域資源をフル活用

1999年から町全体の取り組みが始まり、約100人近くの人が移住してきたから驚きです。今もその飛ぶ鳥を落とすような勢いは止まらず、若者×IT×古民家再生×アートで盛り上がりをみせています。ここまでに来るのにどのような経緯で進められてきたのかが気になるところです。

岩手県|紫波町


https://ogal.info/project/about.php

岩手県紫波町にある「オガールプラザ」は官民複合施設で有名な場所です。

駅前の近くに位置するここオガールプラザは、行政と民間企業が合同で運営している施設です。図書館やマルシェ、トレーニング施設、役場などがあり、住民の生活に必要なものが全てそろう集合施設となっています。緻密に計画され「稼ぐインフラ」として建てられたこの施設は、ただ補助金を使った事業という訳ではありません。

岩手県紫波町の知っておきたいポイント

  • 行政と民間企業の連携とリスク分担
  • 針穴ビジネス(バレーコート専用体育館)
  • 「収益」重要性

紫波町の取り組みは「紫波町公民連携基本計画」に基づいて、雇用、人口、教育、採算性、あらゆる側面から分析され、効果を実証し続けています。つまり最初の計画段階から成功への道を緻密に計画されていたと言えます。行政と民間企業の役割分担がしっかりなされているからこそ実現できているオガールプラザですね。

地方創生交付金や補助金が無駄に使われている地方を良く見かけますが、税金から賄われている以上ただ垂れ流しにするのではなく、オガールプラザのような持続的に運営でき、プラスαとして収益まで見込めるような事業経営をしてほしいなとつくづく思います。

地域創生のこれから

上記の3つの成功事例から、「広報力」「交流」「民間企業」という3つの要素が成り立っていることが成功のポイントになると気付きました。全国各地の地域は、生産物や魅力的な要素はあるけれど、それを上手に活用し、認知させる「広報力」が乏しいところが多いです。

地産地消よがりで外部との交流を避け、受け入れの免疫がない地域や、行政と民間企業の連携が円滑に機能していない地域があります。ですが、外部との交流や、行政と企業の連携は地域創生に取り組む上で非常に大事な土台になる要素です。
それほど「時間」も「人」も「お金」も循環していない地域はもっと必死に動き回らなければ、状況はどんどん悪化してしまいます。

急がば回れという言葉がありますが、とりあえず行動を起こす一歩として「成功事例」を徹底的に分析する事をおすすめします。また「成功事例」だけでなく「失敗事例」も分析してみてください。もちろん、私たちもその二の舞になるまい!!という理由もありますが、それ以外にも、失敗事例の中に成功へのヒントが隠されているかもしれないからです。

少し視点を変えれば、より良い方向性が見えてくるのではないでしょうか?まずは、地道な努力と継続でトライしてみて下さい。その努力は数十年後に実を結び、あなたの町にもより良い方向性が見えてくるでしょう。

まとめ

今回、3つの事例を成功例として紹介しました。本記事の内容を踏まえたうえで、何もできず地域が衰退していく様をただ指をくわえて眺めるのか、それとも今からでも動き出し、動きながら勉強していくのかは、この記事を見ているあなた次第です。

少しでも地域の発展に貢献したいと思った方は、ぜひ他の地域創生施策や町おこしイベントについても調べてみてください。より知見が深まるはずです。

各地域ではこれからも、生き残りをかけた厳しい状況が続きます。そのとき、他の地域の真似ごとではなく、しっかりと「自分の町のために」ノウハウを蓄積し、地域ならではの「独自性」と「企画」を生み出していかなければいけません。
これからも繋いでいきましょう! あなたにとっての大事な町を。