熊本県南部の山々に囲まれた盆地エリアに広がる人吉球磨地域。

盆地特有の寒暖差や豊かな自然の恵みを活かした農作物栽培が盛んな地域ですが、中でもお米が原料の「米焼酎」は人吉球磨を代表する特産品です!

米焼酎はお湯割りや水割り、ストレートなどの飲み方が主流と言えますが、近年は炭酸(ソーダ)で割る飲み方にも注目が集まっています

今回はそんな米焼酎の炭酸割りを、多良木町の蔵で作られる様々な銘柄ごとに飲み比べをして、相性や特徴を探る企画に挑戦しましたので、ご紹介していきます!

たらぎ財団様にご協力いただきました!

今回米焼酎の飲み比べにご協力いただいたのは、一般財団法人たらぎまちづくり推進機構(略称、たらぎ財団)様。今後も米焼酎の普及に向けて様々なイベントを企画していきます!

たらぎ財団様のInstagram

 

目次

  1. まずは世界に誇る米焼酎ブランド「球磨焼酎」をご紹介!
  2. 今回飲み比べをするのはこちらの6銘柄
  3. 球磨の泉(減圧)/那須酒造
  4. かなた/恒松酒造
  5. 九代目/宮元酒造
  6. 霧の都/木下醸造所
  7. 吟醸房の露/房の露株式會社
  8. 熟香抜群/抜群酒造
  9. 米焼酎×炭酸の飲み比べ まとめ

まずは世界に誇る米焼酎ブランド「球磨焼酎」をご紹介!

様々な種類がある、球磨焼酎

今回飲み比べをする人吉球磨名物、米焼酎。米焼酎は新潟や山形などお米栽培が有名な地域でも作られる焼酎ですが、米焼酎の産地として有名なのは人吉球磨だと言えるでしょう。

人吉球磨の米焼酎は地名をとって「球磨焼酎」と呼ばれるのですが、実はこの地名を冠する産地呼称のお酒は、全国で4つしかありません。世界的に見ても「ボルドーワイン」や「コニャック」など数が少なく、名前からも歴史と品質の高さがわかります。

自然豊かな人吉球磨エリア

一方で、焼酎の種類としては「芋焼酎」や「麦焼酎」などは居酒屋などでもよく目にすると思いますが、米焼酎の取り扱いがない飲食店は少なくありません。

同じくお米を原料とする「日本酒」の人気が高いというのも米焼酎の酒蔵や取扱店が少ない理由の一つだと考えられますが、球磨焼酎は焼酎特有の臭みがあまりなく、すっきりとした口当たりとお米を感じる豊かな甘み、華やかで上質な香りが特徴的で、焼酎が苦手な方にもぜひ飲んでみていただきたい非常に洗練されたお酒です。

米焼酎の飲み方は、古来から愛され続けてきたお湯割りや水割り、そしてストレートなどが主流ですが、今回は球磨焼酎の可能性をさらに引き出してくれるであろう、炭酸(ソーダ)割りの飲み比べをしていきます!

今回飲み比べをするのはこちらの6銘柄

今回飲み比べをしたのはこちらの6銘柄。球磨郡多良木町にある酒屋の店主さんに教えていただき、炭酸との相性が良い銘柄をピックアップしていただきました。

相性が良いとはいえ、それぞれ個性豊かな味わいが楽しめるということで、非常に楽しみです!

  • 球磨の泉(減圧)/那須酒造
  • かなた/恒松酒造
  • 九代目/宮元酒造
  • 霧の都/木下醸造所
  • 吟醸房の露/房の露株式會社
  • 熟香抜群/抜群酒造

球磨の泉(減圧)/那須酒造

1つ目は「球磨の泉」です。那須酒造様が手掛ける米焼酎の中でも看板メニューの商品ですが、今回は炭酸割りに合うと考えられる減圧蒸留の商品を選択。“減圧”は一般的な蒸留方法の“常圧”よりも口当たりが軽やかであるため、清涼感を感じる炭酸割りとは相性がよいと言われています。

ただ、もともと「球磨の泉」は米焼酎の特徴がしっかりと表現されている印象があり、香りや口あたりのインパクトは強めだったので、炭酸割りにしたときもさっぱり感というよりは、しっかりとした焼酎の味わいが楽しめました

焼酎が好きで普段水割りやお湯割りを楽しんでいる方におすすめですし、3,4杯目くらいに飲むお酒としても良いと思います。

かなた/恒松酒造

続いて飲むのは恒松酒造様の「かなた」。すっきりとした軽やかな口当たりと、後味にクセが残らない風味が特徴的です。

1999年熊本で発売され、2002年度には30万本を販売した大ヒット商品とのこと。焼酎特有のくさみが少ない焼酎ということで多くの方に愛される「かなた」ですが、炭酸で割った時の印象がどうなるのか、ワクワクしながら飲んでみました。

感想をキーワードで表すなら、“爽やか”、“フルーティ”、“フローラル”。炭酸で割ることで軽やかな清涼感と溢れんばかりの華やかな香りがさらに強調されました。焼酎を普段あまり飲まない方や苦手意識がある方にもおすすめできる一杯です。

九代目/宮元酒造

3杯目は宮元酒造様の「九代目」。お米から作る焼酎ならではの豊かな甘みと香りがしっかりと表現されており、バランスの取れた風合いが心地よいですが、一方で米焼酎をしっかりと楽しめる商品でもあります。

「九代目」の特徴を作り出しているのは、甕(かめ)仕込み、長期貯蔵といった昔ながらの製法。これにより代々受け継がれてきた米焼酎の美味しさをぐっと引き出していると考えられています。

炭酸で割った時の味は、先ほどの「かなた」よりは玄人向けといえますが、飲みにくい印象は一切ないので、「かなた」の炭酸割りが美味しいと感じた方は、2杯目にこちらを飲んでみるのがいいかもしれません!

霧の都/木下醸造所

4杯目に飲むのは「霧の都(きりのまち)」。木下醸造所様の商品です。木下醸造所の焼酎は「文蔵」が有名ですが、炭酸割りにおすすめなのはこれだということで、飲んでみました。

「霧の都」の特徴を一言で言うなら、“昔ながらの懐かしい焼酎”。米焼酎ならではの芳醇な香り、米焼酎ならではのインパクトのある口当たり、米焼酎ならではのクセのある味わい。長く米焼酎に触れてきた方にとってはどこかほっとする一杯に感じられる商品となっています。

「霧の都」を炭酸で割ると、他の飲み方とは一転してすっきりとした印象に。多くの方に飲みやすいと感じていただけるような焼酎に変化しました。香りが強すぎることもないため、食事を邪魔することなくお酒を楽しむことができます

吟醸房の露/房の露株式會社

5杯目は「吟醸房の露」を飲みました。房の露株式會社様の商品で、米焼酎の最高傑作とも言われる吟醸(ぎんじょう)造りが採用されており、日本酒のような味わいが感じられるのが特徴です。

炭酸で割ってみると、華やかでフルーティな印象が強く感じられました。後味には爽やかさがあり、後に残るクセはあまりありません。

これまでの種類の中でより上質な飲みごたえを楽しみたいという方は、「吟醸房の露」の炭酸割りがおすすめです。ゆっくり、じっくりとお酒を楽しみたいときにこちらを飲んでみてください。

熟香抜群/抜群酒造

最後の6杯目は抜群酒造の「熟香抜群」。樽貯蔵のブレンド酒で、ウイスキーに近い独特な風味をお楽しみいただけます。樽の種類はシェリー樽の古樽で、深い味わいとコクが特徴的。かすかに感じられる甘みに米焼酎ならではの魅力も感じられ、いつもとは違う焼酎体験を味わうことができます。

コップに注いでみると色も通常の焼酎とは異なり、黄色がかっています。本当に、まるでウイスキーのようですね。

炭酸割りで飲んでみると、飲み始めは他の5種類と比べてインパクトが際立っていると感じます。初心者の方には難しいと思われるかもしれませんが、実は飲み進めていくうちに一番ハマったのがこちらでした。

米焼酎ならではの魅力、樽貯蔵で作られる独特な風味、そしてそれを炭酸で割った時に生まれる絶妙なハーモニー。とてもおすすめです。

米焼酎×炭酸の飲み比べ まとめ

今回飲み比べて感じた、私の個人的な感想や比較を表にまとめてみました。もちろんあくまで私が感じた感想になるので、その点はご了承ください。

今回飲み比べた6種類は全て酒屋の店主さんから教えていただいたものなので、美味しくない商品は一つもないのですが、それぞれに特徴がしっかりと出ているので好みは分かれるかもしれません。

ぜひ自分のお気に入りの一杯を探してみてください!

球磨の泉 かなた 九代目 霧の都 房の露 熟香抜群
香り 軽やかだが
インパクト◎
フルーティで華やか 少しクセがある さっぱりとしている 上品なフローラル感 ウイスキーのような独特さ
味わい 米焼酎ならではの豊かな甘み 爽やかですっきり やや甘いが全体的にバランス◎ かすかなクセとやさしい味わい 突き抜けるような爽やかさ 深いコクとかすかな甘み
飲みやすさ
※5段階
3 5 2 3 4 2
炭酸との相性
※5段階
4 4 3 3 4 5