こんにちは、地域創生ディレクターのゆうです!今回は熊本県球磨郡多良木町槻木集落で、ミツマタから和紙を作っている椎葉袈史さんのところへお伺いしてきました。

紙幣にも使われる和紙ですが、国産のものの数は少なくなってきており、貴重になっています。そんな国産の和紙を手作りする工程の一部を体験してきました!

目次

  1. 槻木集落とは
  2. ミツマタとは
  3. ミツマタが和紙になるまで
  4. ミツマタの鬼皮剥きに挑戦
  5. 和紙づくりへの想い
  6. まとめ

槻木集落とは

今回お伺いしたのは、熊本県球磨郡多良木町の山奥にある槻木集落。人口100人に満たない地域で、住人のほとんどが65歳以上の高齢者の「限界集落」です。

人里離れた山奥ならではの豊かな自然と、そこで暮らす温かい人たちがこの地域の魅力です。槻木という地で何十年と暮らしてきたおじいちゃんおばあちゃんたちの元気さや明るさは、限界集落を支える大きなパワーになっています。

ミツマタとは

そもそもミツマタとはどのような植物なのでしょうか。

ミツマタは、ジンチョウゲ科ミツマタ属の落葉低木で、枝が常に3本に分かれるためその名が付けられたと言われています。春には蜂の巣状の黄色い花を咲かせ、花の観賞価値も高いため、鉢植えや盆栽としても人気のある植物です。

また、樹皮の繊維質が強く、高級和紙の原料としても使われています。日本紙幣はこのミツマタから作られた和紙を使用しているため、擦れや折れ、水濡れなどにも強いという特徴があります。

ミツマタが和紙になるまで

ミツマタが和紙になるまでには以下のような工程があります。

収穫する 原料となるミツマタの枝を刈り取ります。
蒸す 刈ってきたミツマタの枝を蒸し窯で蒸します。
樹皮を剥ぐ 蒸したミツマタの枝から温かいうちに樹皮を剥がします。
鬼皮を剥ぐ 剥がした樹皮から表面の鬼皮を剥がします。
煮る 鬼皮を剥いで白くなった皮を、灰汁やソーダ灰などと一緒に煮て皮を柔らかくします。
ゴミ・ホコリを取る ゴミやホコリを丁寧に取り除きます。
叩く 柔らかくなった皮を叩いて繊維を細かくほぐします。これで和紙の原料の完成です。
漉く 漉き舟に原料、水、ネリ(繊維が静まず分散するようにするための粘り気のある液体)を入れて、簀桁ですくって漉きます。
絞る 圧搾機などを使って漉いた紙から水を絞り出します。
乾燥させる 水を絞りだした紙を1枚ずつ木の板などに貼りつけて天日干しします。
形を整える 出来上がった和紙を用途に合わせて成形したら完成です。

ミツマタの鬼皮剥きに挑戦

今回は、先ほどご紹介した工程のうち、樹皮を剥がした後の「鬼皮剝き」に挑戦しました!

まずは職人の椎葉袈史さんが実際に作業しているところを見て学びます。職人の手つきを見ているといとも簡単にやっているかのように見えましたが、実際にはそう簡単ではありませんでした。

ナイフを樹皮に当て、樹皮を引いて滑らせることで表面の「鬼皮」が剥がれるのですが、中々綺麗に剥くことができません。細かい鬼皮を取りきれずに何度も剥き直している間にも、椎葉さんは手際よくどんどん作業を進めていきます。これぞ職人の技でした。

この鬼皮剝きの作業ですが、夢中になって黙々とやっているとあっという間に時間が過ぎていることに驚きました。朝から作業を始めて、気が付けばお昼を回っていました、、(笑)

この時になって気づくこと、それは首と腰の痛みです。数時間ずっと同じ体勢で腰と首を丸めた状態が続くと、立ち上がる時には激痛が襲います。これをずっと続けている職人のタフさに改めて脱帽です。

和紙づくりへの想い

最後に職人の椎葉さんに、ミツマタを使った和紙づくりにかける想いをお伺いしました。

現代では和紙に触れる機会は少なくなり、和紙の素材も国産以外のものが多く使われています。そんな中で「国産」の素材にこだわり手作業で和紙づくりを行う椎葉さんには、「日本の文化」と「槻木集落」への想いがあります。

和紙の文化を守りたい

「日本で古くから継承されてきた和紙の文化を守りたい。」そんな言葉からも受け取れるように、和紙づくりの文化を絶やしたくないという意志が感じられます。

椎葉さんは、自身でミツマタを使った和紙づくりをしている方のところに出向いて意見を交換したり、技術を学んだりするなど、和紙づくりにかける熱い想いがあります。いずれこの技術を若い世代に伝えられるような機会も作りたいというお話もされているため、体験の場なども含めてとても楽しみです!

槻木を盛り上げたい

「ミツマタを使って槻木を盛り上げたい。」こんな言葉も口にされていました。槻木集落の大自然から得られるミツマタという恵みを活かして、槻木集落に新たな産業を生み出したいという想いもあるようです。

椎葉さんはミツマタの樹皮を使って和紙を作りながら、枝を利用して「TSUKIGIみつまた」のプロジェクトも進めています。このプロジェクトを通じて槻木集落のことを知ってもらいたいという想いと同時に、この地で採れるミツマタを使った産業を活発にすることで、槻木集落に新たな風を吹かせたいという想いもあります。

このように日本の文化と槻木集落の未来の両方への熱い想いが、椎葉さんがミツマタと向き合う原動力になっています。

まとめ

今回は、熊本県球磨郡多良木町槻木集落でミツマタを使った和紙づくりをしている、椎葉袈史さんのところへお伺いしてきました。椎葉さんが和紙づくりにかける想いや、和紙づくりの工程の大変さを感じられる貴重な体験でした!

職人の椎葉さんがミツマタの枝を使って作っているインテリア「TSUKIGIみつまた」については下記リンクよりご確認いただけます。ぜひご覧ください!
TSUKIGIみつまた公式オンラインサイト