地方創生の鍵を握るSNS活用。中でもインスタグラムは、その視覚的な表現力で地域の魅力をよりわかりやすく伝え、新たな移住者や観光客を惹きつける効果的なツールとして、全国の自治体が取り入れています。

ただ多くの地域が「インスタグラムを活用しているがフォロワーが伸びない、関係人口・交流人口が増えない」と結果を実感できずにいると聞きます。

本記事では、インスタグラムを上手く活用し地域活性化に繋げている自治体アカウントを8つ厳選してご紹介。情報発信のヒントとなるポイントを解説していきます。

また、インスタグラム運用で陥りやすい失敗とその対策など、地方自治体がインスタグラムを運用するうえで大切なことについてもお届けします。

自治体の広報担当者様はぜひご覧ください。

目次

  1. 自治体がインスタ運用に力を入れるべき理由
  2. 【SNS事例】参考になる魅力的な自治体インスタを紹介
  3. 失敗を防ぐ、インスタ運用の注意点
  4. 自治体のインスタ運用で地域を盛り上げよう!

自治体がインスタ運用に力を入れるべき理由

地域活性化においてSNS運用は不可欠であり、中でも視覚的に情報を発信できるインスタグラムは地方ならではの優雅で温かみのある雰囲気との相性が非常に良く、自治体の魅力を効果的に発信できる媒体として多くの地域が活用しています。

今やインスタグラムを取り入れていない地域はないといえるほど普及しているSNSではありますが、ここでは改めて、自治体SNS運用においてインスタグラムが重要な理由について深く解説していきます。

魅力を視覚的にアピールできる

地方の魅力はなんといっても、豊かな自然の風景や田舎の懐かしい雰囲気、そして温かみのある住民の方々の笑顔、などではないでしょうか?

これらの魅力は地方が誇る素晴らしい価値ですが、一方で都会と比べて観光コンテンツが限られてしまう地方にとっては、これらが唯一の武器ともいえるかもしれません。

この武器を最大限に活かすためには、写真や動画といった視覚的なコンテンツを通じて、地域の魅力をダイレクトに伝えられるインスタグラムが有効です。

若年層へのリーチが可能

移住者数・観光者数を増加させるという目的の上では、若者へのアプローチは欠かせません。そしてインスタグラムは、まさにその世代が活発に利用する主要なSNSプラットフォームの一つです。

“インスタ映え”と称されるおしゃれな観光スポットや飲食店の紹介は若者に刺さりやすいですが、それだけでなく「自然の美しい写真を撮影したい」というニーズも存在します。また「地元の人しか知らない穴場スポットが知りたい」という若者も多いです。

上手くインスタグラムを活用することで若者へのリーチが可能となります。

ストーリーテリングで共感と愛着を生む

近年のインスタ運用では、ただ写真や動画を投稿するだけではなく、様々なコンセプトや方法によって情報発信が行われています

例を挙げると、主人公的な立ち位置の人物を登場させ、その人が“地域を勉強する”、“地域を活性化させる”というような成長物語的な方向性でコンテンツを発信しているアカウントがあります。

主人公と一緒に地域を知ったり頑張る主人公を応援したりと、広報的な情報発信だけでは獲得できなかったであろう潜在的なファン層にアプローチすることができます

双方向のコミュニケーション

インスタグラムは一方的な情報発信だけで終わらない、フォロワーとの双方向のコミュニケーションを育むための効果的なツールです。

コメント機能で投稿に対するリアクションを受け付けることができたり、DMにて個別の問い合わせに対応したりすることもできます。

ユーザーをただ情報を受け取るだけの立ち位置に留めるのではなく、地域と関われている感覚、地域コミュニティの一員になった感覚を与えることができ、これもファン作りに寄与します

【SNS事例】参考になる魅力的な自治体インスタを紹介

インスタグラムが有効なツールであるというのは上述の通りですが、ただし上手く活用しなければ期待する効果を実感することが難しいのも事実です。

ここでは自治体のインスタグラム活用の参考となる、運用が非常に魅力的な8つの地域についてご紹介します。

全く同じ運用をすることはできませんが、これらのアカウントからアイデアをもらうのはとても意味があるので、ぜひご覧ください。

山梨県北杜市

山梨県北杜市は、温泉や飲食店、自然満喫コースなど、観光に関する様々な情報をインスタグラムで発信しています。

特徴的なのは、全ての投稿画像および動画にテキストが入れられており、パッと見ただけで何の紹介がされているかを理解できる点です。

目を引く写真を使用するのももちろん重要ですが、数ある観光系のアカウントや投稿の中からユーザーに自地域の発信に注目してもらうためには、短い時間でコンテンツの内容や魅力を伝えるということが大切です。

山梨県北杜市

福島県郡山市

秋田県鹿角市は動画をメインとしたインスタグラム運用を行っています。

地域イベントや観光施設の紹介などを動画で発信しており、動画のクオリティが高くほどよくテキストなども入っているので見やすいです。

特に地域イベントのリアルな様子は画像だけだと伝わりづらいことがあるため、動画で投稿するのはおすすめです。

秋田県鹿角市

徳島県那賀町

徳島県那賀町も動画が中心のアカウントとなっていますが、自然の景色が動画で伝えられているので、画像とはまた違った美しさが表現されています。

自然系の投稿は画像も動画も同じく魅力を届けることができるので、どちらで投稿するか悩んでしまうかもしれませんが、一方に絞らなければいけないという決まりはないので、交互に投稿してユーザーの反応を見てみるのもおすすめです。

徳島県那賀町

群馬県太田市

群馬県太田市のこちらのアカウントは、地域資源を活用した商品の紹介をしているアカウントになります。

写真のクオリティが高く、特に飲食系の商品は非常に美味しそうに見えて好印象ですが、生産者の方にもしっかりと焦点を当てているところは参考になります。

地域商品は、商品だけでなくそれを作った人や制作のストーリーなども評価されるので、このような発信方法は真似したいですね。

群馬県太田市

福島県西会津町

こちらも地域商品の紹介をしている福島県西会津町のインスタグラムアカウントですが、西会津町は他のアカウントと同様、画像上にテキストを入れており、一目でその内容や特徴が理解できるようになっています。

また、デザインもインパクトがあるものになっていて、一覧に表示されたときにも目に留まりやすくなっています。

福島県西会津町

大分県日出町(2アカウント)

最後は大分県日出町のインスタグラムを2アカウントご紹介します。

多くの地域は目的ごとに分けられた、複数アカウントを所有しています。日出町もそのやり方でアカウントが分けられており、今回は地域情報を総合的に発信するアカウントと、ファンづくりや移住希望者向けだと思われる人に着目したアカウントの2つを参照させていただきました。

アカウントを分けることでコンテンツに一貫性が生まれ、ファンができやすいというメリットがあるので、ぜひ取り入れてみてください。

大分県日出町

大分県日出町(人が中心)

失敗を防ぐ、インスタ運用の注意点

自治体以外にも当てはまることですが、インスタグラムを運用する上で注意しなければいけない点も存在します。

不適切な投稿・運用は、信頼を損ねたり活性化とは反対の状況に陥ってしまうといったリスクも潜んでいます。ここでは、 失敗を防ぐためのインスタ運用の注意点について解説します。

バッシング/炎上

SNS運用は多くの人々に情報を届けられる効果的な手段である一方、炎上バッシングのリスクも孕んでいます。

特にジェンダーに関する投稿や他を否定するような内容は非常に危険です。自分はそのつもりがなかったとしても、投稿内での女性の描かれ方がステレオタイプであったり、自地域の魅力を他地域と比較するように表現してしまったりするのは批判の対象となりやすい傾向があります。

あくまでポジティブな発信をするよう心がけましょう。

情報漏洩

写真や動画が主なコンテンツとなるインスタグラムでは、投稿内に意図せず機密情報が映ってしまうリスクがあり危険です。

ある市の職員が休憩時間中にSNSに投稿した写真の中に企業の申告書が映っており、税務情報が漏洩したとして大きな問題となった事案があります。

自身のデスク付近や庁舎内で撮影したものを投稿するのは、基本的には避けることをおすすめします。

政治的・宗教的な発言

自治体に限ることではありませんが、だれでも閲覧することができるSNS上で情報を発信する場合、政治や宗教に関する発言には極めて慎重になる必要があります

ある地域では、毒舌キャラで人気を博していたゆるキャラのSNSアカウントで、日本の終戦記念日前日に「日本の侵略戦争が全てのはじまり」と発信したことで、大炎上しました。

これらの内容は非常にセンシティブなので、特に地方自治体の公式アカウントは中立性を重視し、発信しないよう心がけてください。

自治体のインスタ運用で地域を盛り上げよう!

注意するべき点はあるものの、やはり地域活性化において自治体のインスタグラム運用は欠かせない取り組みの一つと言えるでしょう

地域の特徴を魅力的に発信していくというのは簡単ではありませんし、他地域の事例をそのまま真似するのも好ましくないので、初めは難しさを感じると思います。

ただ、他のアカウントを参考にしながら発信を続けていくことで、きっと自地域ならではのコンテンツが出来上がり、活性化の一助となるSNS運用ができるようになるはずです。

ぜひチャレンジしてみてください。

私たちも熊本県球磨郡多良木町という地域の魅力をインスタグラムで発信しています(※非公式です)。ぜひこちらも参考にしていただけたら幸いです!

多良木町つきぎ集落 インスタグラム