国の政策で地方創生、地域活性化を強化する取り組みが始まってから、10年以上の月日が流れました。
成果をあげた事例は多少目に付くようになりましたが、依然として失敗事例やなかなか状況を変えられず苦しんでいる現状も数多く報告されています。
地域創生を進めるうえで「このやり方が正解だ!」というような確立された方法は未だ存在しません。しかし、むやみやたらに行動するよりも、一定の成果を上げた地域の成功事例を学び、その取り組みを自分の地域流に応用するというのは、とても良い方法だと言えます。
そこで今回は、日本各地の地域創生の成功事例を5つピックアップしてご紹介します。元号が令和に変わった2019年以降の比較的新しいものを取り上げていますので、今の時代でより活かしやすい事例が集まっています。
これから本格的に地域活性化に取り組みたい方や、既に行動しているけどなかなか成果が挙げられない方、より高い地域創生の成果を挙げたい方も、下記の成功事例を分析してみてはいかがでしょうか?
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今、“地域創生”が熱い!その理由とは
少子高齢化や東京一極集中といった課題は、かれこれずっと前から日本が抱える大きな社会問題です。この問題の解決につなげるため、「地域創生」の取り組みも同じく長い間行われてきました。
しかし2025年以降、この地域創生がさらに注目されていく可能性が高いと考えられています。
ここでは地域創生そのものについておさらいをしつつ、これから地域創生が盛り上がっていく理由について解説していきます。
地域創生とは
地域活性化、町おこしといった活動はずっと以前から行われてきましたが、本格的に日本全国で地域創生が意識されるようになったのは2014年。第二次安倍内閣が地域の活性化を促すべく「まち・ひと・しごと創生法」をスタートさせたのがきっかけです。
地域創生の意味について、内閣官房から発表されている情報をもとにまとめると、以下の通りとなります。
人口減少を克服し、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会をつくること。
地域創生に似た言葉としては、地方創生、地域活性化、町おこしなどがありますが、だいたいは同じ意味だと思っていただいて問題ありません。
本記事では「地域創生」という言葉で解説していきます。
今、地域創生が熱い理由
実は今、地域創生に対してこれまで以上の盛り上がりが期待されています。理由は、2024年に内閣総理大臣に就任した石破首相が関係しています。
石破首相は、令和7年度予算案で地方創生の交付金倍増を目指すのに加え、農林水産業や観光業において付加価値を高める新しい取り組みも支援していく考えを示しています。
石破首相は「地方の持っている潜在力を最大限に活かすことがこれからの発展において最も必要だ」と話しており、地域創生を最重要課題と考えているようです。
地方の交付金が倍増ともなれば、各自治体が取り組む地域創生活動の幅も勢いもぐっと強化させることができるでしょう。
地域創生に力を入れるなら、これからがチャンスかもしれません。
地域創生の成功事例5選
それでは、ここから各地域の地域創生の成功事例を5つご紹介していきます。
先述の通り、今回は令和の時代がスタートした2019年以降に成果が確認できた事例をピックアップしています。
今取り入れることも十分可能な事例だといえるので、ぜひ参考にしてみてください。
徳島県神山町
https://www.in-kamiyama.jp/events/45166/
一つ目に紹介するのは、地域創生のモデル地域としてよく紹介されている、徳島県神山町。
代表的な取り組みの一つ「サテライトオフィスプロジェクト」では、高速ブロードバンドの整備に加え、通信費や古民家改修費などの支援を用意したことで多くのサテライトオフィスを誘致しました。
また、集合住宅や空き家などの住環境の整備を進めたことで移住・定住者数が増加。人口減少が課題であった過疎地域でしたが、2019年には転入者が転出者を上回る社会増を実現しました。
新潟県三条市
https://archive.kouba-fes.jp/#a03
金属加工工場を多数持つものづくりの町、新潟県三条市は「アウトドアグッズの聖地」として知られる地域です。
そんな三条市は、普段は一般公開されていない施設を含めた地域の工場を一斉開放し、ものづくりの見学や体験ができるオープンファクトリーイベント「燕三条 工場の祭典」を毎年行っています。
2019年には出展企業113件、来訪者は5万人以上と一層の盛り上がりを見せており、地域外からの交流人口の創出にも大きく貢献しています。
石川県金沢市
https://www.machi-nori.jp/about/
金沢市はもともと観光客の多い街ではありますが、今の時代にあった新しい取り組みを行っているので、紹介します。
その取り組みは「まちのり」です。カリテコバイクやループのようないわゆるシェアサイクル事業になりますが、ユニークなのは地域の魅力やイベントと絡めた独自のキャンペーンやクーポンを利用者に提供しているところです。
他社ではわからない、自分の地域だからこそわかる地域特性を考慮したシェアリングサービスを展開することで、年10万回以上利用されるサービスとなっています。
高知県
「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」スタートイベントを開催中!①
フォレストアドベンチャーやシーカヤックなどの自然体験や県内各地の美味しいグルメも大集合!2月2日(土)、3日(日)は高知駅前「こうち旅広場」へ。#リョーマの休日 #高知体験 pic.twitter.com/d2H8HMPBwz— 高知県 (@pref_kochi) February 2, 2019
地域単位ではありませんが、高知県が取り組んだ成功事例をご紹介します。
高知県が行ったのは、現代には欠かせないSNSを活用したプロジェクトです。県公式のTwitter(現在のX)アカウントにて「リョーマの休日 #一生忘れられない高知旅行 ぷち旅行キャンペーン」を実施。
フォロー、リツイートをした人の中から抽選で「高知県産品が購入できるオンラインクーポン」をプレゼントするキャンペーンなどを実施し、フォロワーは約10倍の1万8,000人に増加。さらに後のアンケートではフォロワーの33%ほどが県を訪ずれたということも明らかになりました。
宮崎県小林市
宮崎県の小林市による、動画を使った地域創生の成功事例もご紹介します。
2015年、小林市が公開した地域プロモーションムービー「ンダモシタン小林」が話題を呼びました。
小林市に移住したという設定のフランス人の視点で小林市の特徴を美しく、そしてちょっぴり不思議に表現。YouTubeに公開された動画は2025年時点で330万回以上再生されている、メガヒット動画となりました。
この動画の公開は約10年ほど前で実は最近の事例ではないのですが、ただ10年たった今でも再生回数が伸び続けていることを考えれば、やはり動画によるプロモーションは今なお効果的だということがわかります。
事例から考える、地域創生を成功させるポイント
5つの成功事例をご紹介した上で、最後にこれらを踏まえて考える地域創生を成功させるポイントについて触れていきたいと思います。
もちろんここで解説するポイントを全て実践すれば地域創生を成功させられるのかといえばそうではありませんが、一つの共通点であり重要な要素として、ぜひ下記特徴をご覧いただけたらと思います。
既存の地域資源をフル活用する
今ある地域の魅力を存分に活かした取り組みで地域創生に挑戦するのは、とても大切なことです。
地域活性化の施策を考えるとき、IT化の推進や観光施設、宿泊施設の新設といった画期的な方法を考えるケースが多いように思いますが、それには莫大なお金がかかってしまいますし、新しさを求めるあまり地域特有の魅力も薄れてしまう可能性もあります。
もちろん上記の施策も非常に重要なのですが、まず考えるべきなのは既存の地域資源や今ある地域の魅力、特徴を活かした施策でしょう。
紹介した5つの事例は、基本的に既存の資源を十分に活用した施策です。金沢市の「まちのり」は一見すると新しい技術の活用のように感じますが、金沢市のコンパクトな地形を最大限生かすための適切な取り組みだと考えられます。
地域のソフトな魅力を崩さない
特産品や観光地のように、食べたり見たり体験したりできる特徴を「ハードの魅力」と考えたとき、「ソフトな魅力」とは地元の人の温かさや地域コミュニティ、変わらない毎日の暮らしなど、外からパッと見ただけではわからない地域の根本にある魅力のことを指します。
上述の「地域資源のフル活用」は主にハードの魅力を活用する取り組みになりますが、その施策が地元の方の想いやコミュニティ間の繋がり、毎日の暮らしなどのソフト面を変えてしまうようなら、適切な施策とはいえません。
たとえば、地域文化を保存するための画期的な施策として、神社の祭りをディスコ風にアレンジしてリリースしたとします。仮にこの企画により若者が多く集まって賑わいのあるお祭りになったとしても、それが地域の方々が長い年月を経て大切にしてきた「伝統」を崩してしまうようなら、本当の意味で成功したとは言えないでしょう。
人口増加に固執しない
地域創生を考えるとき、どうしても「人口増加」を一つのゴールとして考えてしまいがちですが、最初に書いた通り地域創生の目的は「人口減少の克服」です。
もちろん、人口が増えるに越したことはありませんが、簡単に増やすことができるのならどの地域も過疎化に苦しんではいません。人口が増えないからと一喜一憂せず、中長期的に施策を策定し、根気強く続けていくことが重要になります。
また自治体単位で見れば人口は増やしていきたいところですが、地域住民に目を向けると、全員が人口増加を喜ぶかといえばそうではないかもしれません。人口が増えることによってゴミや騒音の問題が増加したり、各種施設がひっ迫したりしてしまっては、住民にとってデメリットになってしまいます。
成功した後のイメージをしっかりと組み立ててから、適切な目的のもと施策を行う必要があります。
今一度、地域創生に取り組みましょう!
今回は地域創生の成功事例5つの紹介と、その事例をもとに各自治体が地域創生を実現する上で重要となるポイントについて解説していきました。
繰り返しになりますが、今回ご紹介した内容を実践すれば必ず成功できるかというと、そうではありません。
ただ、やみくもに行動するよりは成功例に基づいて取り組みを進めた方が、成功の確率は高められるでしょう。他にも地域イベントや町おこしイベントに絞って紹介している記事もあるので、そちらもぜひご覧ください。
あなたにとって大切な街を、これからも繋いでいきましょう!