「町おこし」「地域創生」という言葉が世に浸透してきている昨今、地方の田舎町では様々な町おこし施策や地域イベントが開催されています。しかし、どれだけイベントを盛り上げることができても、その盛り上がりが一時的なものとして終わってしまっては意味がありません。
取り組みを有意義なものにするためには、当日の参加者を集めて盛り上げることはもちろん、その後も継続して観光客や関係人口を増やしていくようなイベント・施策を行っていくことが大事になってきます。
近年は新型コロナウイルスの流行により、各地でイベントの中止や延期が相次いでいましたが、2022年現在ではそういったイベントも少しずつ復活しつつあります。
そこで今回は、新型コロナウイルス流行以前の事例も合わせて、町おこしのために開催されたイベントをご紹介していきます。
目次
しもかわアイスキャンドルミュージアム/北海道下川町
http://www.shimokawa-time.net/event/ice-candle/
アイスキャンドルで街に光を灯す
アイスキャンドルとは、氷で作られた器の中にろうそくを入れたものです。日本でのアイスキャンドル発祥の地である北海道下川町では、冬になると家の前にアイスキャンドルが並びます。
会場内はそんなアイスキャンドルがたくさん並べられた幻想的な空間になり、多くの来場者が訪れます。
インスタ映えを狙ってフォトコンテストに挑戦!
このイベントではフォトコンテストも開催されており、誰でも簡単に応募することができます。
入賞者には賞金も用意されているので、カメラの腕に自信がある人にとってはまた別の楽しみ方があり、写真に熱中する参加者もいます。
総務大臣から表彰されたイベント
2022年で48回目を迎えた歴史のあるイベントですが、これまでに「過疎地域自立活性化優良事例表彰総務大臣賞」を受賞したことがあり、過疎地域における町おこしのお手本になるイベントの一つと言えます。
まちあそび人生ゲーム/島根県出雲市
https://www.facebook.com/HondaSmileMission/posts/1579763822113666?__xts__
みんな知ってる「人生ゲーム」を、商店街丸ごと使って開催!
人生ゲームは発売から50年の歴史を持つロングセラー商品。今なお幅広い年代の男女に親しまれているゲームです。知名度の高い人生ゲームをイベントの核にすることで、幅広い年代を呼び込むことができます。
島根県出雲市は、そんな人生ゲームを商店街丸ごと使ってやってしまおう!とするイベント、『まちあそび人生ゲーム』を開催しました!
入ってみないと分からない商店街の魅力に気づいてもらう
『まちあそび人生ゲーム』の参加者は、ゲーム内通貨「縁(えん)」を持って商店街の店を回り、ミニゲームなどのイベントを通して通貨を増やしていきます。
このシステム上、「参加者は必ず店内に入る」ことになるのが大きなポイント。「こんなものが買えるんだ」「いい雰囲気のお店だな」という、入ってみないと分からない商店街の魅力に気づいてもらうことができます。
商店街を根本から元気に
『まちあそび人生ゲーム』の開催は、単に多くの参加者を集めただけではありませんでした。新規客の来店が多くあったことを受けて、商店街に店を構える店主たちが商品の売り出し方などを見直すきっかけになったのです。その結果、商店街の売上が増加し、その後の観光産業の活性化にもつながりました。
南は佐賀、北はなんと北海道からと、かなり遠方からの参加者も集めた出雲市の『まちあそび人生ゲーム』。商店街の人たちが地域創生への高い意識を持つことにもつながるため、商店街を中心とした町おこしにはピッタリのイベントと言えるでしょう。
ToyamaGamersDay/富山県
http://tgd.jespa-toyama.org/
eスポーツの代表格「富山県」
ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技としてとらえ、ここ数年で世界的に市場規模を拡大させている「eスポーツ」。近年ではオリンピック種目に採用することも検討されているほど、人気のコンテンツとなっています。
そして今、地方ではゲームファンが立ち上げた独自のeスポーツ大会が盛り上がりを見せ始めています。その代表格が、富山県が展開する「ToyamaGamersDay」。
100人だった参加者が、数年で700人超えに?!
はじめのうちは参加者数が100人にも満たない、小規模なイベントでした。しかし2018年、イベント運営に強みを持つ富山テレビ放送の協力を得ることができ、同年12月に開催したイベントでは約720人もの参加者を招き入れることに成功しました。
その後もToyamaGamersDayは毎年のように開催されており、どの年のイベントも大盛況となっています。近年のeスポーツに対する注目度の高さが、この事例から見て取れます。
eスポーツイベント成功のカギは「地元のゲームコミュニティー」
わずか数年の間で大成功を収めた富山の「ToyamaGamersDay」。ですが、今でこそ多くの有名企業や団体からの協力を得ることができている同イベントも、スタート時の予算は5万円ほどしかありませんでした。
しかし、充実したゲームコミュニティーを持つ富山県は、1日数千円で公民館を借り、自分の機材や友人から借りた機材を持ち寄ることで、低予算でイベントを開催することができました。
eスポーツの需要が高まる昨今においては、地元のゲームコミュニティーの力を最大限に発揮しながら、「まず、開催してみる」ことが大切であるといえるのではないでしょうか?
田んぼアート/埼玉県行田市
https://www.gyoda-kankoukyoukai.jp/spot/669
田んぼアートとは?
田んぼをキャンバスに見立てて、色の異なる稲をペンや絵の具の代わりとして使用し制作された巨大な絵や文字。これを「田んぼアート」と呼びます。
巨大なアート作品であるため、基本的には展望台やヘリコプター、ドローンなどを用いてその美しさを楽しみます。緑鮮やかな色彩が特徴的な、大自然を活かしたアートです。
ギネスに認定?!世界最大の田んぼアート
2008年から田んぼアートの制作を開始した埼玉県行田市。なんと7年後の2015年には、世界最大の田んぼアート作品を作ったとして、ギネス世界記録に認定されました。
田んぼアートは、行田市の広大な水田を彩る新たな風物詩となりました。
田んぼアートを作るのは、500人の公募ボランティア!
2008年以降、毎年のように制作されている行田市の田んぼアート。2021年のアートテーマは「田んぼに甦るジャポニスム~浮世絵と歌舞伎~」でした。
そんな行田市の田んぼアートを制作したのは、なんと500名以上の公募ボランティア!「世界を代表する芸術作品の制作メンバーになれる」というこれまでにない新しい価値を生み出し、提供したことが、行田市の知名度向上に大きく貢献しました。
SATOYAMA RUN in 飛騨高山/岐阜県高山市
https://satoyama-run.com/
大自然を感じながら走る!インバウンド向けランイベント
SATOYAMA RUNは、岐阜県高山市にある丹生川(にゅうかわ)地区にて行われたランイベント。美しい田園風景の中を走り、地域の人々と触れ合うことで、日本の良さを再確認することを趣旨としています。
さらに、このSATOYAMA RUNはインバウンド(訪日外国人)の誘致に力を入れたイベントでもあります。参加者のうち2~3割は海外の方で、アメリカ・香港・台湾・中国などさまざまな国の方が訪れました。
インバウンド需要獲得の成果もあり、2018年に開催された第1回では約550人を動員しました。
全身で里山の魅力を堪能できる
コース途中に設けられたエイドステーションには、丹生川地区特産のトマトや高山名物のお菓子、昔懐かしい甘酒などを用意。さらにイベント前日に行われる前夜祭では、飛騨の地酒や飛騨牛などが振る舞われます。
美しい景色を見ながら走るだけでなく、その土地の特産物を味わうことで、参加者はより里山の魅力を強く感じることができます。
SNSフォトコンテスト
SATOYAMA RUNの開催に伴って行われたSNSフォトコンテスト。イベントを楽しむ様子を参加者自身がSNSでシェアすることで、情報の拡散と知名度の向上が期待できます。
こういったSNSを使った企画は、イベント参加者に「写真を撮ってコンテストに応募する」という楽しみ方を提供すると同時に、今後「参加者になるかもしれない」層に広くアプローチすることもでき、非常に効果的な施策です。
海外からの観光客誘致を重視したSATOYAMA RUN。日本の美しい田園風景を武器に国際交流を生む新しいランイベントとして、今後も注目のイベントです。
ツール・ド・九州2023プレ大会(Tour of 九州 2022)
https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/69/147032.html
4日間に渡る大会
熊本県では、2023年秋のUCI(国際自転車競技連合)認定のプロ自転車ロードレース「ツール・ド・九州2023」開催に向け、ジュニア競技者の自転車レース「Tour of 九州 2022」がツール・ド・九州2023のプレ大会として開催されました。
大津町、南阿蘇村、湯前町、人吉市の間を4日間かけて行われた大会は県内でも多くの注目を集めました。
全国の高校生が集結
プレ大会となった「Tour of 九州 2022」は、全国から高校生のチームが17チーム参加し、競い合いました。
このように県外からも若い層が多く来訪する機会は、高齢化・過疎化が進む地域に勢いをもたらすきっかけにもなると考えられます。
2023年には本大会
2023年には本大会の開催が予定されており、プロの国際大会ということもあってさらに多くの注目を集めるでしょう。
当然海外からの参加となる選手もいるため、県内の観光業をはじめとする業界にも影響を与えることになりそうです。
まとめ
町おこし・地域創生を行うにあたって、イベントを行って人を集めることは非常に効果的です。しかし、地域イベントの開催はあくまで“きっかけ”。当日に人がたくさん集まったからと言って、かならずしも地域の活性化につながるとは限りません。
地域イベントを意味あるものにするためには、そのイベントを通じて、地域の魅力を参加者にアピールすることがなによりも重要なのです。
地域の町おこしに関連して興味を持たれた方は、以下のシティプロモーションの記事も是非ご覧ください。