こんにちは!地域創生ディレクターのひりゅうです!

熊本県球磨郡多良木町のさらに山奥に位置する、槻木集落。人口100人に満たない限界集落では、古くから自然を最大限に活かした農作業が営まれています。

今回は、そんな槻木集落で栽培されている代表的な作物「お米」の苗を植えていく、田植え体験に参加させていただきました。さらに、今回体験させていただいたのは、機械を一切使わない手植えでの苗植え。

やり方やコツを教えていただきながら、手植えだからこそ味わえる大変さややりがいなどを思う存分堪能してきましたので、本記事ではその様子をお伝えしていきます!

目次

  1. 槻木集落のお米や田んぼの特徴
  2. 田植え体験レポート!手植えに挑戦しました
  3. 田植え体験を終えて
  4. まとめ

槻木集落のお米や田んぼの特徴

槻木集落のお米や田んぼの特徴田植え体験のレポートをする前に、今回体験をさせていただいた槻木集落で収穫できるお米の特徴や田んぼの特徴について紹介していきます。

特徴的な田んぼの地形

上述の通り、槻木集落は熊本県多良木町の山奥に位置する、人口100人を下回る小さな地域です。山の奥地の集落であるため、田んぼは一般的な地域とは異なり小さく、さらに山の地形を考慮したいびつな形をしている点が特徴的です。

槻木の田んぼの代表的な形は、三角形や台形、ひょうたん型などが挙げられます。これらの形をした田んぼは、機械を使って隅の細かい部分まで苗を植えることができないため、細かい部分は手植えで対応する必要があります。そんな槻木集落では、現在でも田植えの方法に一部手植えを採用している人が何人もいます。

湧き水を活用して栽培されている

槻木集落には、公共の水道が通っている住宅や地域はほとんどありません。水道を利用しない槻木の人たちは、山から流れる「湧き水」を生活や植物の栽培に活用しています。

槻木集落で採れる湧き水はpH値7.8の弱アルカリ性です。一方日本の土の多くは酸性であると言われています。酸性の土は養分が少なく、作物の栽培にはあまり向いていません。しかし、栽培にアルカリ性の水が使われることで酸性土壌が中和され、美味しいお米を栽培することつながるのです。

そんな槻木集落で採れるお米は、ふっくらとしていて口当たりがよく、バランスの良い味わいが特徴的で、とてもおいしいです。

田植え体験レポート!手植えに挑戦しました

田植え体験レポート!手植えに挑戦しましたそれではここから、田植え体験の内容を紹介してきます。今回は同じく地域創生事業部メンバーのぞえ、うりーなと一緒に田植えの体験を行いました。田植え体験の機会を提供してくださったのは、50年以上のお米栽培の経験を持つ椎葉袈史(しいばけさし)さん。全員が初めての田植え体験ということで、椎葉さんには手植えの基本的なやり方から教えていただきました。

手植えのやり方について

今回の田植えは苗を手で植えていくため、苗を植える間隔1株に植える苗の本数などを意識して田植えを行う必要があります。

間隔が狭すぎたり1株に植える本数が多すぎると、1本1本の苗に十分な栄養が行き渡らず、健全な養育が行えません。一方で、間隔を広げすぎたり1株の本数を少なくして植えてしまうと、農地に隙間ができてしまい効率的な栽培を行うことができません。

これらを考慮して、機械を使わずに苗を植える際には、土に印をつけたりひもを使ったりして間隔の目安となる目印を用意し、植える苗の本数は3~4本くらいを意識して田植えを行っていきます。

苗は親指、人差し指、中指の3本の指で挟むようにして持ち、土に向かって真っすぐ突き刺すようにして植えます。苗は浅めに植えることが基本ですが、浅すぎると苗が横に倒れてしまうため、初心者は苗を立たせるために逆に気持ち深めを意識して植えるのが効果的です。

手植えのコツ

機械を使わず田植えを行う際には、上手く手植えを行うためのコツやポイントを意識する必要があります。

先ほどは植える苗は3から4本ほどを意識した方がよいと記載させていただきましたが、実際には正確な本数を意識しすぎるとあまりにも時間がかかってしまいます。そのため「だいたい」3~4本くらいを意識することが大切だということを教えていただきました。多少の誤差は苗の生育にはそこまで影響しないとのことです。

また、多くの方が想像している通り田んぼの中はぬかるんでいて非常に歩きづらいです。そんな足場の中でも転ぶことなく、さらに腰や足への負担を軽減させるためには、小股で歩きながら苗を植えることが大切だということも教えていただきました。

小股で苗を植えることで安定感が増し、手植えがやりやすくなるのと同時に体への負担が少なくなるそうです。

今回の田植えは上記の点を意識して取り組みました。

体験レポート

体験レポート 教えていただいたやり方やコツを参考にして、早速苗の手植えに挑戦していきます。田んぼに入るのは初めてだったので歩くことすら大変でしたが、勢いよく田植えをスタートしました。

数百本の苗が固まっている苗代から3~4本の苗を取り出して、田んぼに植えていきます。まず感じたのは、苗代から狙った本数の苗を取り出すのが難しいということ。3,4本という本数は意外と少なく、雑に取り出してしまうと多くとりすぎてしまいます。

コツの部分で多少の誤差は仕方がないと教えていただきましたが、どうしても完璧を意識してしまい、時間がかかってしまいました。

田植えの手植えは、大変 また、土の中に植えていく作業も想像以上に大変でした。上述の通り手植えでは苗が横に倒れないように気持ち深めに植えていくことがコツとなりますが、田植えのスピードを上げることを意識してしまうと、深さの調整に意識が回らなくなってしまい、苗が横に倒れてしまいました。

しかし、ふと周りを見てみると、同じく初体験だったぞえ、うりーなは苗を横に倒すことなくきれいに植えていました。ひょっとすると、田植えが下手なのは自分だけなのかもしれません。自分の手先の不器用さに落ち込みましたが、あきらめずに植え続けます。

 1時間ほどかかりましたが、田んぼの全範囲に苗を植えることができました!低い姿勢で苗を植え続けていたので腰がとても疲れましたが、初体験の3人と椎葉さんの計4人で田植えを行ったため、1時間という時間で終わらせることができました。

田植えに慣れている人がやればもっと短い時間で終わらせられたのかもしれませんが、無事作業を終わらせることができて、良かったです。

田植え体験を終えて

田植え体験を終えて初めての田植え体験を終えた感想は、「やっぱり、手で苗を植えていくのは大変だ」でした。慣れない姿勢と慣れない足場で苗を植え続けていくのは体力的に苦しかったですし、さらに本数や間隔を意識し続けた状態で田植えを行わなければいけないので、それも大変でした。

しかし今回は、そんな大変な手植えだからこそ得られる「感謝」の気持ちを実感することができた体験でもありました。

普段僕たちが食べているお米は、過酷な農作業を乗り越えて生産されている貴重な作物です。現在は機械を使って作業を行うのが主流となってはいますが、それでも暑い日も寒い日も休まずに農作業と向き合い続けなければ、美味しいお米を作ることはできません。

今回の体験を通して、そのような「お米への感謝の気持ち」を強く実感することができたのは、とてもよかったと思います。当然ですが、安易にご飯を捨ててしまうようなことは起きてはいけないとも感じました。

まとめ

今回は熊本県多良木町の槻木集落で、人生で初めての田植え体験に参加させていただいた様子を紹介しました。大変な作業でしたが、大変だったからこそ様々な気づきや学びを得ることができました。

私たち日本人にとって、お米はソウルフードともいえる欠かすことができない食べ物です。そんなお米をより大切に、噛みしめて食べていこうと思わせてくれた今回の田植え体験は、僕たちにとってとても貴重なものとなりました。

田植え体験の機会を提供してくださった椎葉袈史さん、ありがとうございました!