少子高齢化や東京一極集中といった社会問題への改善策として、近年注目されているシティプロモーション。しかし名前は聞いたことがあっても、具体的にどのような取り組みを行うことを指すのかイメージできていないという人は多いのではないでしょうか?

本記事では、シティプロモーションの具体的な内容を知ってもらうために、全国の地方自治体が行ったおもしろい事例を11個に絞って紹介していきます!この記事を読めば、様々な角度からのシティプロモーションのアプローチ方法を学ぶことができます。

それでは見て行きましょう!

※そもそも「シティプロモーションって何?」という方は、下記記事をご覧ください。

シティプロモーションとは

目次

  1. 群馬県高崎市×絶メシリスト
  2. 千葉県流山市×母になるなら、流山市
  3. 鳥取県鳥取市×吉祥寺への挑発広告
  4. 静岡県浜松市×出世大名家康くん
  5. 茅野市×結日記
  6. 深谷市×わがまち深谷
  7. 岐阜県関市×うまい仏
  8. 宮崎県小林市×ンダモシタン小林
  9. 岩手県花巻市×二刀流採用
  10. 佐賀県×銀魂 佐賀春プロジェクト
  11. 島根県松江市×まちのトレジャーハンティング
  12. まとめ

群馬県高崎市×絶メシリスト

群馬県高崎市×絶メシリスト

https://zetsumeshi-takasaki.jp/

高崎市には、多くの高崎市民から愛されている魅力的な個人経営の飲食店がたくさんあります。しかし近年の少子高齢化、東京一極集中などの社会問題の影響を受けた個人経営の飲食店は、後継者不足という問題を抱え、廃業の危機に瀕していました。

そこで高崎市は、多くの市民から愛されている個人店を絶対に絶滅させてはいけない!という想いのもと、古き旨き高崎グルメを紹介する『絶メシリスト』という名前のメディアサイトを立ち上げました

このサイトは見事大成功を収め、お店にはお客さんが殺到。多数のテレビ番組でも取り上げられるようになりました。絶メシリスト経由で後継者を獲得した飲食店もあるそうで、ユニークなメディア運用が高崎市の活性化に大きく貢献しました。

千葉県流山市×母になるなら、流山市

千葉県流山市×母になるなら、流山市

https://brand.city.nagareyama.chiba.jp/magazine/child-raising/

千葉県流山市は「少子高齢化による人口減少」と「大規模区画整理事業の遅延」という、2つの大きな問題を抱えていました。そんな流山市を財政破綻させないためには、大規模区画整理事業を早急に完了させ、そしてその土地に多くの移住者・定住者を誘致させることが必要でした。

そこで流山市は、当時ほとんどの自治体が取り入れていなかった「マーケティング課」を設置し、「住んでみたい街」として流山市を認知してもらうためのプロモーション施策に取り組むことを決意しました。

流山市はDEWKS(30歳代から40歳代の共働き子育て世代)をターゲットとして定め、母になるなら、流山市』というキャッチコピーを設定。テレビやインターネット、ポスターといった様々なメディアを活用した広報・宣伝活動を実施し、さらには子連れで楽しめる大型イベントも開催しました。

その結果、流山市は4年連続で人口増加率全国1位を記録。地域課題を克服しました。

鳥取県鳥取市×吉祥寺への挑発広告

鳥取県鳥取市×吉祥寺への挑発広告

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000028172.html

鳥取県鳥取市は、 月刊誌『田舎暮らしの本』にて掲載された「住んでみたい田舎ランキング」で2度もNo.1を獲得している、注目の田舎町です。しかし、この鳥取市の人気はなにもせず勝手に生まれたものではありません。

鳥取市の知名度、人気の向上に大きく貢献した事例としては、田舎とは対照となる「住んでみたい街ランキング」の1位常連である「吉祥寺エリア」で展開した、挑発広告が挙げられます。

挑発の内容は『待機児童ゼロなので、待機ストレスもゼロ。』『職場までは通勤というより散歩です。』など様々。悔しくもこのポスターを見て田舎暮らしへの憧れを抱いた都会人は多いのではないでしょうか?

静岡県浜松市×出世大名家康くん

静岡県浜松市×出世大名家康くん

https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kanko/intro/100year/100chara.html

ゆるキャラを活用したシティプロモーションは数年前から注目されていますが、静岡県浜松市もまたおもしろいキャラクターを生み出して地域をアピールしています。

浜松市には、天下統一の夢を果たした徳川家康が築いたとされる「浜松城」があり、さらに現代においてはヤマハやスズキ、ホンダといった世界的大企業も多く輩出しています。こうした経緯を踏まえて、浜松市は自らを「出世の街」としてプロモーションしていく計画を立ち上げました。

その計画の一つが、ゆるキャラ「出世大名家康くん」によるプロモーション施策。2011年の市制100周年を記念して誕生したマスコットキャラクターですが、自治体だけでなく市民全員が盛り上げ続けたことで、2015年のゆるキャラグランプリでは優勝を果たし、さらには年末の紅白歌合戦にも出演するなど、一躍注目のキャラクターとなりました。

茅野市×結日記

茅野市×結日記

https://yuinikki.smout.jp/

長野県茅野市が行ったプロモーション施策「結日記は、他にはないおもしろい取り組みとして多くの注目を集めました。

「結日記」は、茅野市が2018年の11月から開始した婚活キャンペーン。入力した情報や希望をもとにマッチングを行い、茅野市内の在住者と市外在住者が交換日記(結日記)を用いて交流を深めていきます。

婚活イベントの一つではありますが、現代を生きる人たちには忘れられつつあった「交換日記」を活用するというユニークな方法を取ることで、茅野市はその知名度を大きく向上させることに成功しました。

懐かしさあふれる地方ならではの「遊び心」が詰まったプロモーション施策でした。

深谷市×わがまち深谷

深谷市×わがまち深

http://www.city.fukaya.saitama.jp/shisei/kyodo/kyoudou_torikumi/1461746213731.html

わがまち深谷』は、埼玉県深谷市の誕生10周年を記念して制作された、深谷市の魅力や特徴がまとめられた記録映画です。

埼玉県深谷市は、2006年に行われた市町村合併によりいくつかの市が合わさって誕生しました。そして2015年に、誕生10年を記念して制作されたのがこの『わがまち深谷』。

シティプロモーションの施策として映画制作を行う例は、他では聞いたことがありません。唯一無二の施策だからこそ、多くの人の心に深谷市の魅力を刻み込むことができました

岐阜県関市×うまい仏

岐阜県関市×うまい仏

https://www.city.seki.lg.jp/0000007830.html

岐阜県関市は、人気のスナック菓子を関市にゆかりのある仏像をモチーフにアレンジするというおもしろい施策を行うことで、その名前を一気に広めることに成功しました。

関市は、「円空仏」と呼ばれる美しい彫刻作品が多く祀られていることで有名です。なんと関市は、この円空仏を、若者から大人まで知らない人はいない「うまい棒」を使って彫刻する、アート作品を制作しました。その名も『うまい仏』

2015年、愛知県名古屋市にあるミッドランドスクエアで107体ものうまい仏が展示され、約1万3千人もの来場客が集まりました。このイベントを通して、関市は円空仏を、さらには関市という街自体の認知度向上を実現したのです。

宮崎県小林市×ンダモシタン小林

宮崎県小林市×ンダモシタン小林

http://cms.city.kobayashi.lg.jp/display.php?cont=150827102405

2015年、小林市は移住促進を目的としたPR動画を制作しました。名前は『ンダモシタン小林』。フランス人の役者さんが、豊かな自然や人の温かさといった小林市の魅力を、宮崎県の方言の一つ「西諸弁」で紹介しています。

西諸弁は日本語とは思えないほど特徴深い方言なので、視聴者の多くは動画終盤まで、フランス人がフランス語で小林市を説明しているのだと勘違いしてしまったことでしょう。

このおもしろいPR動画はSNS上でも繰り返し取り上げられ、視聴回数は290万回再生超えを記録。多くの人に小林市の魅力を認知させることに成功しました。

岩手県花巻市×二刀流採用

岩手県花巻市×二刀流採用

https://krt.smout.jp/hanamaki/

岩手県花巻市が行った「地域おこし協力隊」の採用キャンペーンも、おもしろいシティプロモーション事例の一つ。

地域おこし協力隊とは、地方の自治体が都会で暮らす都市住民を受け入れ、農林漁業や地域住民の生活支援といった地域活性化業務を一定期間委託することで、花巻市への定住を図る取り組みのことです。

花巻市はこの地域おこし協力隊の募集を「二刀流採用」という名前で行い、ユニークなコンセプトのもと採用活動を実施しました。結果として、この施策は採用活動への貢献だけに留まらず、花巻市の知名度向上を実現することにもつながりました

佐賀県×銀魂 佐賀春プロジェクト

佐賀県×銀魂 佐賀春プロジェクト

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000101.000018574.html

2018年、佐賀県全域で行われたおもしろいシティプロモーション施策が「銀魂 佐賀春プロジェクト」です。

佐賀県は、幅広い世代から人気の漫画『銀魂』とコラボレーションし、銀魂の主人公である坂田銀時が佐賀県をプロデュースするというコンセプトで、メディアを通じた情報発信やグッズ販売などのシティプロモーションに取り組みました。

漫画やアニメのキャラクターとのコラボレーションは高い効果が期待できるとして以前からも注目されていましたが、その中でも年齢性別問わず楽しむことができる、ギャグ要素の強い『銀魂』とタッグを組んだことは、施策の成功に大きく貢献しました

島根県松江市×まちのトレジャーハンティング

島根県松江市×まちのトレジャーハンティング

https://re-re-re-renovation.jp/schools/th_matsue

松江市は、「まちのトレジャーハンティング」と題した市民参加型のワークショップを開催して、注目を集めました。

近年では観光地や地域の名物・特産品を発掘していく「地域創生」という考え方が普及してきていますが、地元で普通に生活をしているだけでは、なかなかそのような魅力的な地域資源を発見することはできません。

そこで松江市主導のもと、参加者がお宝(=魅力的な地域資源)を発掘していくワークショップが開催されました。後の報告会では、地域の特徴を活かしたスポーツイベントや宿泊施設など、多数のおもしろいアイデアが参加者から発表されました。

まとめ

シティプロモーションのおもしろい事例を紹介します!【まとめ】全国のおもしろいシティプロモーションの事例11個を紹介しました。「こんなのあり?!」と思うくらい特徴のある取り組みばかりだったと思います。

今回はおもしろい施策だけに絞って紹介しましたが、どの取り組みも地域の活性化を心から望んだ結果生まれた「おもしろさであり、だからこそこの遊び心」が多くの人の心に刺さったのだと思います。

まずは、他の地域に負けない自分たちだけの魅力を探すところから始めてみるといいかもしれませんね!