少子高齢化や東京一極集中などの問題が注目されるようになってから、名前を聞く機会が増えてきている「シティプロモーション」。しかし、名前は知っていても意味までは理解できていないという人は多いのではないでしょうか?

そこで、本記事ではシティプロモーションについて徹底的に解説をしていきます!この記事を読めば、シティプロモーションの意味シティプロモーションを行う目的シティプロモーションの成功事例の3点について理解することができます。

それでは見て行きましょう!

目次

  1. シティプロモーションとは?
  2. なぜシティプロモーションが必要なのか
  3. シティプロモーションのゴールとは
  4. シティプロモーションの具体的な事例
  5. まとめ

シティプロモーションとは?

シティプロモーションとは、ある地域の認知度向上やブランド力向上を目的として行われる活動のことで、地方自治体によって行われます。簡単に言えば、地域の自治体による「広報活動」や「営業活動」のことです。

具体的な活動としては、地域の観光スポットや特産品をテレビやインターネット、SNSなどのメディアを通じて発信したり、数年前から注目を集めている「ゆるキャラ」を活用して地域をアピールしたりすることなどが挙げられます。

また、地域外だけでなく現在地域で生活をしている住民に対して地域のさらなる魅力をアピールしていくことも、シティプロモーションの目的の1つ。住民の皆さんに「この地域に住んでいてよかった!」と思ってもらえるような情報発信を、内部に向けても行っていく必要があります。

なぜシティプロモーションが必要なのか

現在、日本は「少子高齢化」という大きな社会問題に悩まされています。働き手の不足によって経済の成長はストップし、雇用の減少は止められない。そして、より良い仕事を求める若い人材は都市部へと集中していきます。こうした流れの中で、人口の流出が止まらない地方の田舎町は、近年ますます衰退の一途を辿っています

この「都心部への人口集中による地方の過疎化」を抑制し改善していくためには、それぞれの自治体が「魅力的なまちづくり」を目指して活動していく必要があります。つまり、自分たちの地域の魅力を発信し、多くの人に認知してもらわなくてはいけません。そして、ここで重要だと考えられているのが、「シティプロモーション」です。

過疎化の進行は、農業衰退による食料自給率の減少や、地元企業の弱体化に伴う日本経済の縮小など、様々な問題を引き起こします。だからこそ、今の日本には地方を活性化させるための「シティプロモーション」が必要なのです。

過疎化の問題については、こちらの記事で詳しく解説しています。興味のある方はぜひご覧ください。

シティプロモーションのゴールとは

シティプロモーションのゴールとはシティプロモーションのゴールは、大きく分けると以下の3つにまとめることができます。

  • 移住者数、定住者数の増加
  • 地域住民の、地域に対するエンゲージメント向上
  • 地域ブランディングによる地域活性化の実現

それでは1つずつ見ていきましょう。

移住者数、定住者数の増加

シティプロモーションの大きな目的の1つは、移住者数や定住者数を増やして、過疎地域の人口減少に歯止めをかけることです。

現在地方の過疎化をなかなか止めることができていないのは、多くの人たちが抱く「地方で生活をするのは、東京や大阪などの都市部での生活と比べて不便で、魅力がない」というイメージを払拭することができていないからであると考えられます。

地方での生活には、家賃が安いことや新鮮な食材を安価で手に入れられること、そしてなにより自然に囲まれながら生活することで他では味わえないリラックス感を得られることなど、たくさんのメリットがあります。

これら地方の魅力を多くの人に認知させ、移住者や定住者の数を増加させていくことが、シティプロモーションを行う上での目標になります。

地域住民の、地域に対するエンゲージメント向上

地方の過疎化を改善するためには、移住者数や定住者数を増やすだけではなく、既に地域で生活をしている地域住民を外部に流出させないようにすることも大切になってきます。

過疎化が進む大きな要因は、地元の地域に魅力を感じることができていない若者が、東京をはじめとする都市部へと出ていってしまうこと。しかし逆に考えれば、若者が地元に残って生活をし続けることで人口の減少を抑制することができ、地域活性化への足がかりを掴むことができると考えることもできます。

自分たちの地域の魅力をしっかりと認識し、それを地域住民に確実に伝えていくことが、シティプロモーションの活動を通して目指さなければいけないゴールであると言えます。

地域ブランディングによる地域活性化の実現

上記2つで紹介した「人口減少を止める」という目標は、実はそう簡単に実現できるものではありません。これは、地域の過疎化を改善することが未だにできていないという現状を見れば、簡単に想像することができるでしょう。

ですが、シティプロモーションには人口減少の抑制以外に、もう1つのゴールがあります。それが「地域ブランディング」です。

地域ブランディングとは、地域独自の特徴を商品やコンテンツと融合させて発信し、その地域を1つのブランドとして認知してもらおうとする活動のことを言います。例えば、熊本県のくまもんや香川県直島のアートなどが挙げられます。

これらのブランド効果によって、地域を訪れる観光客数や地元の特産品をオンラインで購入する地域外の顧客数を増加させることができれば、それも地域活性化に大きく貢献することになります。

地域の人口増加だけにこだわるのではなく、総合的に地域を盛り上げていくことが、シティプロモーションの活動に求められることであると言えます。

シティプロモーションの具体的な事例

シティプロモーションの具体的な事例それでは最後に、シティプロモーションの具体的な事例について紹介していきます。ここで紹介する事例は全て「成功した」事例です。完全に真似をするのはいけませんが、いくつかの部分を参考にしながら新しい施策を行うことで、シティプロモーションの成功率をぐっと高めることができるといえるでしょう。

愛媛県今治市「今治タオル」

愛媛県今治市「今治タオル」
今治タオル」という名前を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?今治タオルは優しい肌触りと高級感溢れる見た目が特徴的な、国産の高品質タオルです。最初に紹介するのは、そんな日本が誇る今治タオルを生み出した、愛媛県今治市の事例です。

もともと、大阪府の泉州地域と並ぶ日本の有名なタオル産地であった今治市。しかし、中国産やベトナム産の安価なタオルが大量に流通するようになり、厳しい価格競争の末、今治市がこれまで維持してきたタオルの国内シェアが失われつつありました。

苦しい状況に陥った今治市のタオル産業でしたが、今治市はタオルの価格を下げることはしませんでした。逆に今治産のタオルを「今治タオル」と名付けブランド化したことによって、高級タオルとしてのポジションを確立することに成功したのです。

こうして、今治タオルは今では世界的に知られるタオルブランドとして成長し、さらには今治市という地域の認知度を向上させることにも成功したのです。

福井県鯖江市「市民協働推進プロジェクト『鯖江市役所JK課』」

福井県鯖江市「「市民協働推進プロジェクト『鯖江市役所JK課』」次は女子高生のニーズを捉えたユニークな施策を行ったことで、地域住民の市外流出を抑制した実績のある、福井県鯖江市を紹介します。

福井県鯖江市はメガネフレームの国内製造の96%を担う、眼鏡産業の一大拠点。「めがねのまちさばえ」という名前でブランド化し、近年その知名度を向上させています。

しかし、そんな鯖江市も東京一極集中による人口減少の影響からは逃れることができていませんでした。そこで鯖江市が人口流出を止める目的で行った施策が「市民協働推進プロジェクト『鯖江市役所JK課』」の発足です。

市内の女子高生が参加し、若い女性のニーズに沿ったアプリやスイーツを開発したことにより、卒業後も多くの女子高校生が地元に残り、鯖江市は人口流出を抑制させることに成功しました

埼玉県久喜市「1000人クッキーダンス」

最後に紹介するのは、埼玉県久喜市が市のプロモーションのために投稿した動画「1000人クッキーダンス」です。

埼玉県にある久喜市が掲げるスローガンは、「久喜No.1宣言」。市の広報や宣伝に力を入れている久喜市は、市役所にシティプロモーション課を設置しています。

そんな久喜市は、2016年に「1000人クッキーダンス」という動画をYouTubeにアップ。総勢3058人という大人数でダンスをするこの動画は、60万回以上の再生回数を記録し、さらにこの動画のダンスを真似て踊る「踊ってみた」動画の投稿は60件以上にのぼりました。久喜市は「1000人クッキーダンス」の大ヒットの影響を受けて、その知名度を一気に向上させました。

まとめ


本記事では、シティプロモーションという言葉の意味、そしてシティプロモーションの成功事例について紹介しました。

シティプロモーションという言葉自体を理解するのは、全く難しくはありません。しかし、シティプロモーションの概要を理解した上で、自分の地域の魅力を効果的に世の中に発信していくことには、一捻りの工夫が必要であると言えます。

この記事を読んで少しでもシティプロモーションに取り組みたい、シティプロモーションを成功させたいと思っていただけた方は、他の地域創生施策や町おこしイベントについて調べてみることをおすすめします。複数のイベントを参考にしながら、自分の地域独自のシティプロモーションを行い、地域活性化の実現に挑戦してみてください!