地域創生企画ディレクターのりゅーせいです。

全国各地で過疎地域がよく取り上げられています。私は地域支援のお仕事に従事して4年程経ちましたが、地域に赴くと行政関係者が必ずと言っていいほど口にする「過疎化」問題。日本各地では、過疎化を食い止めようと目指す動きがあります。

豊かな自然環境や伝統文化などの地域資源を活かした地域づくり、移住定住促進や、国庫補助率のかさ上げ、過疎対策事業債の発行、金融措置、税制措置、持続的発展の支援などあらゆる手段を使いながら、必死に過疎化を食い止めることが本当に必要なことなのでしょうか

ここまでする理由とは一体何なのか?過疎のその先に果たして一体何が待っているのだろうか?本記事では過疎化問題の実態について紹介させていただきます。

目次

  1. そもそも過疎化とは何か?
  2. 過疎地域になった背景
  3. 過疎地域になるまでの流れ
  4. 過疎化は日本にどんな影響を与える?
  5. 過疎化が進むとどうなる?
  6. 過疎化対策について
  7. まとめ

そもそも過疎化とは何か?

人口の急激な減少により、地域住民の生活水準や生産機能が一定のレベルを維持できなくなった状態を「過疎」、その状態が進行していることを「過疎化」といいます。ちなみに日本の過疎化進行状況としては、全国の半数近くの市町村が過疎化となっており、日本面積で言えば、国土全体の6割弱の割合です。

  • 過疎関係市町村
    過疎地域に該当する市町村
  • 過疎地域とみなされる市町村
    一定の要件に該当する市町村
  • 過疎地域とみなされる区域のある市町村
    一定の要件には該当しないものの、合併前に過疎地域

参考:全国過疎地域自立促進連盟
過疎市町村の数は820、全国の1,718市町村の47%に当たります。(令和3年4月1日現在)

過疎地域になった背景

日本経済の高度成長期に農山漁村地域から都市地域に向けて、若者を中心に大幅な人口移動が起こりました。
農村漁村地域は人口減少により、例えば教育、医療、防災など、その地域における基礎的な生活条件の確保に支障をきたすようになりました。

過疎地域になるまでの流れ

過疎地域になるまでの流れは、以下の通りです。

  1. 高度経済成長期 若者が都市部へ流出
  2. 働き手人口の減少 自治体への税収が減り、行政サービスの低下
  3. 商業施設の売上減少に伴い雇用環境の悪化
  4. 若者がさらに仕事を求めて都市部へ流出し、人口減少が加速

東京一極集中とは

現代の日本社会では、政治・経済・文化の中心はほぼ首都・東京に集中しています。若者が好きそうな楽しいイベントも、だいたい東京で開催されます。そして、モノやカネが集まるところには、当然ヒトも集まるわけです。

近年この東京一極集中を緩和しようという動きが見られるようになってきていますが、いまだ目立った成果は上げられていません。2018年9月現在、47都道府県のうち34の自治体が転出超過(転入してくる人口よりも転出する人口の方が多い状態)であるのに対して、東京都は3000人以上の転入超過(転出する人口よりも転入してくる人口の方が多い状況)を記録しています。

参考:総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告 平成30年9月結果

過疎化は日本にどんな影響を与える?

過疎地域になると、生活道路や農業用水の管理不足、鉄道や路線バスといった公共交通網の衰退、地元企業の弱体化、山林の荒廃が起こります。山林の荒廃が進むと、クマやイノシシなどの野生動物の行動範囲が広がり、農作物・人的な二次的被害に繋がる恐れがあります。

また空地・空き家が増えることで、治安が悪化することも大きな問題とも言えるでしょう。

過疎化が進むとどうなる?

過疎化が進む地域では、生活道路や農業用水などの管理ができなくなったり、鉄道や路線バスといった公共交通網が衰退したりといった問題が発生します。また、手入れをする人がいない山林や耕作地の荒廃が進むと、前述の通り、クマやイノシシなどの野生動物の行動範囲が広がり、人里に降りてきて畑を荒らしたり人を襲ったりする危険性も伴います。

過疎化によって不利益をこうむるのは、決してその地域だけではありません。地方の過疎化によって耕作地や農業の担い手が減ることで、日本の食料自給率の低下にもつながります。

また、地方から流出した人口が都市部へと集中することで、都市部の「過密化」も進み、住宅不足や大気汚染・水質汚染といった問題が発生します。人は一人では生きられないと言いますが、集まりすぎてもまた生きられないのです。

過疎化対策について

このことから、過疎化によって起こる問題は、日本全体に影響を及ぼす可能性があるといえます。地方の過疎化、都市部の過密化は隣り合わせであり日本の重大な課題です。つまりこの課題を解決することで、地方の過疎化対策が、同時に都市部の過密化対策にもなり得るのです。

全国的に高齢社会となりつつある現代で、過疎地域は人口の高齢化が約20年先行していると言われています。その中で対策として取り組んでいる内容は下記となります。

  • 美しい国土を形成し、未来の世代に引き継いでいくことに寄与する
  • 国土の保全、地球温暖化防止などにより国民生活に重要な役割を担う
  • 国民全体の新たな生活空間として地域を自立させる
  • 高齢社会の先進モデルを作り出し、地域に貢献する

国は、ナショナルミニマムの確保を図り、地域の自立促進に向けた挑戦を続けていきます。

まとめ

人口減少を漠然とした危機意識ではなく、自らが居住する地域でも起こり得る身近な問題として認識を共有することが重要です。そのうえで、地域全体として人口減少がもたらす問題に立ち向かっていく必要あります。魅力的な地域づくりを促進することで、次世代にわたる豊かな暮らしの促進、過疎を食い止めていきたいですね。