最近、「ジビエ」という言葉を耳にする機会が増えてきています。野生動物の肉を使った料理というイメージのあるジビエですが、具体的にはどのような意味を持つ言葉なのでしょうか?

本記事では、そんなジビエについて、人気が高まっていった背景該当する動物おすすめのジビエ料理などについて詳しく解説していきます。この記事を読めば「ジビエとはなにか」を深く理解することができます。

それでは見ていきましょう!

目次

  1. ジビエとは?
  2. ジビエの歴史
  3. 近年のジビエ人気上昇の理由について
  4. おすすめのジビエ肉5選!
  5. ジビエの美味しい食べ方を紹介
  6. まとめ

ジビエとは?

ジビエとは?ジビエとは、狩猟によって捕獲した野生鳥獣のこと、またはその野生鳥獣の肉のことをいいます。私たちが普段一般的に食べている牛や豚、鶏などの肉は、全て家畜として飼育されている食用動物。しかし、ジビエに該当するのは人の手によって管理、飼育されていない天然の動物たちです。

ジビエの最大の特徴は、普段食べている肉とは異なる味わいを楽しめる点と、料理を食べながら壮大な大自然を感じることができる点。険しい自然環境の中で必死に生きてきた野生動物だからこその力強さを、料理を通して堪能することができます。

ジビエに該当する動物としては、イノシシ、シカ、クマ、ウサギ、カモ、カラスなどが挙げられます。ジビエに馴染みのない人は上記の動物を食べることに抵抗を覚えるかもしれませんが、実はどの肉も保管方法や調理方法を工夫することでとても食べやすくなります。

一口ジビエ肉を食べてみれば、きっとそのおいしさに感動するはずです!

ジビエの歴史

ジビエの歴史近年、ジビエやジビエを使った料理への注目度は日に日に高まってきています。なぜこれほどまで人気が広がっているのでしょうか?普及の要因を探るためには、ジビエの起源を知る必要があります。

野生鳥獣を食べるという行為自体は、古代の時代から行われてきました。その後、徐々に家畜として食用動物を飼育する習慣が確立されていったことにより野生鳥獣を狩って食べるといった行為は減少していくことになるのですが、中世に入り、フランスの上流貴族の間で狩猟が趣味として広がっていったことにより、再び野生動物、ジビエを食べるということに注目が集まるようになりました。

高級食材として広まっていったジビエですが、次第にその食文化は庶民にも普及していき、その後ジビエ料理の認知度は世界的に拡大していきました。

近年のジビエ人気上昇の理由について

近年のジビエ人気上昇の理由について長い歴史の中で愛され続けてきたジビエですが、近年その注目度をより一層高めています。その理由は様々ですが、大きな要因として考えられるのは、ジビエ普及が野生鳥獣による農作物被害急増の問題解決策となり得るという点です。

日本では以前から、地方を中心に野生鳥獣に畑や田んぼを荒らされてしまうという問題が多く発生していました。農林水産省が2020年に発表した「鳥獣被害の現状と対策」によると、2019年度の野生鳥獣による農作物被害は総額158億円にのぼるとされています。これは深刻な問題です。

しかし、農作物に被害をもたらす野生動物をジビエとしておいしい料理へと変えることができれば、この問題の解決に大きく繋がります。さらに地方が主導となってジビエを販売することができれば、近年注目されている地域創生の実現にも貢献します。

ジビエの普及は、社会問題の解決策にもなる可能性があるのです。

おすすめのジビエ肉5選!

ジビエに該当する動物の種類は多岐に渡ります。そのため、ジビエの肉を食べたことがない人、ジビエについて詳しく知らないという人は、おいしくて食べやすい肉を選ぶのに苦労してしまうかもしれません。

そのため、ここでは私が選ぶおすすめのジビエ肉を5つ紹介していきます!ピップアップしたジビエは、以下の5つです。5つのジビエは、味の美味しさ栄養価入手難易度(スーパーなどで買いやすいかどうか)の3つの観点で選出しました。

また、今回は私の独断と偏見でおすすめのジビエをピックアップしています。今回紹介できなかったものも魅力満点のジビエ肉ですので、気になる方はぜひ他の肉も食べてみてくださいね!

それでは行きましょう!

イノシシ

味のおいしさ ★★★★★
栄養価 ★★★★☆
入手難易度(★が多い方が入手困難) ★★★☆☆
  • 特徴①:濃厚で食べ応え抜群な豚肉?!
  • 特徴②:低カロリー高タンパク、ビタミン類は豚肉の4倍!
  • 特徴③:スーパーでも購入可能!(※店舗によって異なる)

一番最初に紹介するのは、ジビエと言ったらこれ!というほどジビエの中でも有名な、イノシシの肉です。ニュースを見ていると、時々「イノシシに畑が荒らされました」といったネガティブな情報を耳にすることがありますが、ジビエとして食べるとイノシシの肉はとてもおいしいです。

味のおいしさに関してですが、イノシシの肉は豚肉に近いです。味わいは豚肉よりも濃厚で、食感はイノシシ肉の方が若干硬い。食べ応えのある力強さがイノシシ肉の魅力です。

栄養は、低カロリーで高タンパク、さらにビタミン類は豚肉の4倍近くも含まれており、健康に良い食肉であると言われています。

イノシシ肉は日本において兵庫県の郷土料理「牡丹鍋」で好んで食べられており、古くから食肉として親しまれてきたことから、スーパーなどでも比較的簡単に購入することができます。この点もイノシシ肉の魅力の一つです。

シカ

味のおいしさ ★★★★☆
栄養価 ★★★★★
入手難易度(★が多い方が入手困難) ★★★☆☆
  • 特徴①:牛肉の赤身に近い!さっぱりとした味わいが特徴
  • 特徴②:高タンパク、高鉄分、超低脂質!
  • 特徴③:比較的簡単に手に入る!

続いて紹介するシカの肉も、イノシシと同様人気の高いジビエ肉です。シカはキャンプや旅行などで山の中に入ると目にする機会がとても多い、日本ではなじみの深い動物です。

出会う機会が多い分、他のジビエ肉と比べても簡単に手に入れることができます。イノシシのように郷土料理として食べられることは少ないですが、現代的な料理にシカ肉を使用することで、普段とは異なる味わいを楽しむことができる点から、注目度の高いジビエ肉であるといえます。

味は牛肉の赤身に非常に近いです。ジビエの肉にありそうな臭みもほとんどありません。脂肪が少なくさっぱりとしており、食感もやわらかいのでとても食べやすいです。

シカ肉は栄養も魅力的。似た味の牛肉と比べると、タンパク質は牛肉よりも10g程度高く、脂質は牛肉の5分の1以上となっています。鉄分は約2倍多く含まれているので、ダイエットなどに力を入れている人にもおすすめできる肉です。

カモ

味のおいしさ ★★★★☆
栄養価 ★★★☆☆
入手難易度(★が多い方が入手困難) ★★★★☆
  • 特徴①:「ジューシーな口当たりで満足度MAX!
  • 特徴②:脂質は多いけど、コレステロールは低い!
  • 特徴③:最近はお寿司屋さんでも食べられる!

続いて紹介するのは、鳥類の一種である「カモ」です。日本ではカモ肉は古くから食べられてきた伝統的な食肉であり、その分食べやすさも満点なジビエであるといえます。

カモ肉の特徴は、ここまでで紹介したイノシシ肉、シカ肉とは異なり、やや脂肪分が多いという点です。こってりとした口当たりが特徴的ですが、そこにくどさ等の嫌な印象は全くありません。理由は、カモ肉の脂肪に含まれるコレステロールがとても低いため。上品な脂質が豊富に含まれているからこそ、カモ肉は歴史を超えて愛されてきたのでしょう。

食肉として食べられるカモ肉は品種が豊富であるため、栄養素も品種によって異なります。しかし、多くのカモ肉に共通するのは、他の肉と比べてビタミンB1、B2、そして鉄分が多く含まれていること。カモ肉も体に良いジビエ肉であるといえます。

入手難易度も比較的低いといえます。スーパーで購入することもできますし、最近では回転ずしのメニューで合鴨を使った商品を販売している店舗も増えてきています。合鴨はカモとアヒルの交配種であるため、本来のカモとは味わいが異なるかもしれませんが、初めて食べる人にはおすすめできる商品です。

クマ

味のおいしさ ★★★★☆
栄養価 ★★★★☆
入手難易度(★が多い方が入手困難) ★★☆☆☆
  • 特徴①:繊維がきめ細かい内もも肉がおいしい!
  • 特徴②:食物繊維の多さと豊富なコラーゲンが特徴!
  • 特徴③:流通量少なめ。だけどオンラインなら購入可!

続いて紹介するクマも、ジビエ料理が普及していく中で一般人の間でも人気が高まっていった注目のジビエです。クマといえば人を襲う怖い動物とイメージする人が多いと思いますが、狩猟地域では好んで食べられてきました。

クマは体の大部分を食肉として食べることができるため、部位によって味も異なります。ただし、クマの肉は繊維が荒いことが特徴であるため、繊維がきめ細かい内ももはおいしく食べられるといわれています。

栄養に関しては、食物繊維の多さと豊富なコラーゲンが特徴的。見た目が荒々しい分ギャップを感じますが、女性にとってうれしい美肌効果をクマ肉を食べることで得ることができます。

最近ではクマ肉が置かれているスーパーも少しずつ出てきているようですが、他のジビエ肉と比べると市場に出回っている数は少ないといえます。しかし、楽天などのネット通販を活用すれば購入することは可能ですので、気になる方はオンラインを活用してみてください。

カラス

味のおいしさ ★★★★☆
栄養価 ★★★★☆
入手難易度(★が多い方が入手困難) ★☆☆☆☆
  • 特徴①:ももは地鶏!むねは牛肉の味わい?!
  • 特徴②:鉄分多め、コレステロール低め
  • 特徴③:購入難易度MAX!レア度もMAX?!

最後に紹介するのは、日本ではどの地域でも目にすることができる、真っ黒な体が特徴的な動物「カラス」です。カラスといえば、ごみ袋を破って生ごみを食べている様子の印象が強く、あまり良いイメージを抱いていない人は多いのではないでしょうか?

しかし、ジビエとして食べられるカラスの肉は非常においしいとして、近年注目を集めています。味は部位によって異なりますが、 もも肉は地鶏のようなジューシーな味わい、胸肉は鶏の肉なのにどこか牛肉のような豊富な鉄分が感じられる味わいです。

食用として捕獲するのは街中で生ごみをあさるカラスではなく、野山に生息する自然の餌を食べて育ったカラスであるため、農薬や重金属の残留はなく、安全性の高い食肉であるといえます。臭みもほとんど感じられないため、誰でもおいしく食べられるジビエ肉です。

栄養の観点では、他の鶏の肉と比較すると鉄分が多く含まれています。またコレステロールの含有量が低いことも特徴的で、健康面において優秀な食肉であるということがわかります。

ただし、カラスの肉は他のジビエ肉と比べて購入することが難しいという問題があります。カラスの肉を販売しているスーパーはほとんどなく、ネット通販を見てもカラスの肉を販売しているサイトはなかなか見つけられません。この購入難易度の高さは、ジビエとしてのカラスのデメリットであるといえます。

ジビエの美味しい食べ方を紹介

それでは最後に、ジビエを使ったおいしい料理、ジビエ肉のおいしい食べ方を3つピックアップして紹介していきたいと思います。様々なジャンルの料理を選んで紹介するので、ぜひ自分に合った料理を見つけてみてください!

シカ肉のロースト

シカ肉のローストローストビーフを意識してシカ肉をあぶり焼きにした料理です。シカ肉の味は牛肉の赤身に近いと言われているため、ローストとの相性もとても良いです。臭みもほとんど感じられません。

牡丹鍋

牡丹鍋

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000110.000036445.html

こちらは全国的に有名な兵庫の郷土料理、牡丹鍋。古くから愛されてきた料理なだけあって、おいしさの安定感は抜群に良いです。花のように盛り付けられた生のイノシシ肉も、食欲を引き立てます。

熊汁

熊汁

https://dailyportalz.jp/b/2007/06/18/a/2.htm

最後に紹介する料理は、クマの肉を使った「熊汁」です。ゴボウや大根などの根菜とシメジやエノキといったキノコを一緒に煮ることで作られるシンプルな料理。汁物として料理することで、クマ肉のジューシーさやワイルドな味わいが絶妙に表現されるため、とてもおいしいです。

まとめ

今回は「ジビエとはなにか」というテーマで、ジビエについて詳しく解説していきました。都市部で暮らしている人はジビエに触れる機会はなかなかないと思いますが、この記事を読んでジビエに少しでも興味を持っていただくことができたなら、幸いです。

こちらの記事では、実際にシカ肉を料理して食べてみた内容をまとめています。実際にジビエ料理に挑戦したいと考えている方は、ぜひ読んでみてください!

ジビエ料理に挑戦!鹿肉を食べてみた