こんにちは!地域創生ディレクターのゆうです。

自分たちで丹精込めて作った野菜を販売して生活する、農業のお仕事。頑張った分だけ美味しく育つし、自分たちで消費して、自給自足の暮らしを実現するのも夢がありますよね!

ですが、作物の栽培を行ったことがない人や、農業について勉強したことがない人は、いきなり農地を借りて農業を開始するのには、とても大きなハードルがあります。

そんな時におすすめなのが「農村ワーキングホリデー」。今回は、農村ワーキングホリデーの特徴や仕組み、メリットについて、私ゆうの体験談も併せてご紹介していきます!

目次

  1. 農村ワーキングホリデーとは
  2. 農村ワーキングホリデー参加者のメリット
  3. 農村ワーキングホリデー受け入れ農家のメリット
  4. おすすめの農村ワーキングホリデー受け入れ地域
  5. 上秋津での農村ワーキングホリデー体験談
  6. 農村ワーキングホリデーで農業とのつながりを

農村ワーキングホリデーとは

まずは農村ワーキングホリデーとは何かについてご説明します。

ワーキングホリデー

ワーキング・ホリデー制度とは、二国・地域間の取決め等に基づき、各々が、相手国・地域の青少年に対し、休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度です。(外務省ホームページより)

つまり、海外での観光を楽しみながら、滞在にかかる費用を稼ぐために働くこともできるという制度です。

農村ワーキングホリデー

上記のワーキングホリデー制度の「国内版」とも言えるのが「農村ワーキングホリデー」です。似た言葉としては「ふるさとワーキングホリデー」もあります。2つはほぼ同じ意味だと思って大丈夫です。

農村ワーキングホリデーは、参加者が地域での休暇を楽しみながら、宿泊や食事にかかる費用を、農村での労働によってまかなうという制度。時給や日給で賃金が支払われる有償方式と、賃金の代わりに宿泊場所と食事が提供される無償方式があります。

農業に興味を持つ人農村地域のつながりを生むことや、農村での人手不足解消が期待される取り組みです。

農村ワーキングホリデー参加者のメリット

農村ワーキングホリデー参加者のメリットは、以下のようなものがあります。

  • 地域の暮らしや農作業を体験できる
  • 地域の方との交流ができる
  • 金銭的負担が少ない

農作業や地域の暮らしを体験できる

農村ワーキングホリデー参加者にとっては、滞在中に得られる経験全てが貴重なものです。

農業や就農に興味がある方は、農業の仕組みや実際の業務、楽しいことや大変なことなど、様々なことを学べます。農村ワーキングホリデーに参加した後すぐに自分で農業を始められる、とまではいきませんが、農家の暮らしや農業の全体像の理解は深めることができます。

また、農業を仕事にすることにそこまで興味を抱いていない方にとっても、普段滅多に触れることのない農業の体験ができること、そして都会とは異なる環境で生活できることは、全てが新鮮な体験になります。

地域の方との交流ができる

農作業中のコミュニケーションはもちろん、自宅に泊めてもらう場合は生活を共にすることになるので、さらに会話の機会が増えます。そうした受け入れ農家の方との交流をはじめ、地域の方との関わりのきっかけを得られることも魅力の一つです。

参加前は縁もゆかりもなかった地域が、参加後は「第二のふるさと」のような、想い入れのある地域に変わることは珍しくありません。

金銭的負担が少ない

農村ワーキングホリデーの参加には基本的に費用がかからないことが多いです。参加地域までの交通費は自己負担の場合がほとんどですが、それ以外にかかる費用はなく、身体一つで飛び込んでいける手軽さが魅力です。

「やってみたい!」と思ったらまず挑戦してみる、くらいの感覚で参加できます。

農村ワーキングホリデー受け入れ農家のメリット

参加者にとってメリットが多い農村ワーキングホリデーですが、参加者を受け入れる農家さんにも良い点があります。ここでは参考として、受け入れ農家さんのメリットについても紹介します。

  • 農繫期の人手不足解消
  • 地域外の人とつながることができる
  • 地域・農業への自信

農繫期の人手不足解消

受け入れ農家にとってのメリットの1つは、特に農繁期の人手が欲しい時期に参加者に農作業を手伝ってもらえることです。

アルバイトとして常時募集するのではなく、季節や天候の影響も考慮しながら農家さん側で募集人数をコントロールできることは大きな魅力と言えます。

地域外の人とつながることができる

農村ワーキングホリデーを受け入れる農家の中には、「参加者とのつながれる」を大切にしている方も多いです。

「農村」と呼ばれる地域には若い世代が少ないことが社会問題にもなっていますが、農村ワーキングホリデーの利用者は若い世代や学生が多いという特徴があります。

滞在中に生まれる参加者とのコミュニケーションがお互いにとって新たな視点や価値観を共有できる機会になることも農村ワーキングホリデーの魅力です。

地域・農業に対する自信がつく

地方創生の意識が強まってきていることもあり、近年では地域独自の文化や魅力的な価値に多くの注目が集められています。しかし、以外にも地域で暮らす方々は、自分たちの地域独自の魅力に気が付いていない方も多くいます。

しかし、農村ワーキングホリデー参加者との交流の中で、普段は「当たり前」になっていた地域や農業の価値を再発見することも珍しくありません。こうした体験が地域や農業への誇りにもつながり、農家さんのモチベーションアップにもなります。地域創生に対する意識も高まります。

おすすめの農村ワーキングホリデー受け入れ地域

最後に、地域創生ディレクターとして様々な地域を訪問してきた私ゆうがおすすめする、農村ワーキングホリデー受け入れを行う3つの地域をご紹介します!最後に紹介する和歌山県の上秋津は、実際に農村ワーキングホリデーの体験もさせていただきましたので、その様子もお伝えします。

  • 宮崎県児湯郡西米良村
  • 長野県飯田市
  • 和歌山県田辺市上秋津

宮崎県児湯郡西米良村

https://nishimera-life.jp/workingholiday/

宮崎県中央部の最西端にある九州中央山地に位置する西米良村は、人口約1000人と宮崎県内で最も人口が少ない自治体です。面積の96%を森林が占める地域で、耕地面積率は1%未満となっています。

1960年には5,500人ほどいた人口が2000年には1,500人を下回るという、深刻な人口減少に直面する西米良村が、交流人口の増加を目指して、1998年から始めた取り組みが農村ワーキングホリデーです。

参加者は農作業等の労働で得た賃金で宿泊費や食費などの現地に滞在する費用をまかなうという「有償方式」で、この形式は日本では西米良村が先駆けとなったことから、「西米良方式」とも呼ばれます。

人口減少に伴う農繫期の人手不足の解消、そして交流人口の増加の効果が見込める画期的な制度として、全国から注目を受けるようになりました。

長野県飯田市

https://www.city.iida.lg.jp/site/waki/about.html

長野県の最南部に位置する飯田市は、四季折々の豊かな自然に囲まれた人口約10万人ほどの都市です。ほぼ全ての農作物の栽培が可能な気候であり、多様な品目が生産されていますが、農業担い手の高齢化や耕作放棄地の増加という課題を抱えています。

その一方で、都市で暮らす人の田舎暮らし志向や就農志向の高まりから、新規就農希望者が一定数いるという現状もあります。そこで、定住に向けた農業研修の取り組みの一環として、1998年から農村ワーキングホリデーが開始されました。

先述の「西米良方式」とは異なり、参加者は賃金の代わりに宿泊場所と食事を得るという「無償方式」であることが特徴です。この無償方式による農村ワーキングホリデー制度は、飯田市が先駆けとなったことから、「飯田方式」とも呼ばれます。

この制度が開始されて以来、2018年時点で100戸以上の受け入れ農家と7,000名以上の参加者を記録しています。参加者のリピート率の高さも特徴の1つで、リピーターの中には2回目以降は直接農家さんと連絡をとって訪れる人も多いため、実際にはさらに多くの交流が生まれています。

先述の西米良村と並び、農村ワーキングホリデーのモデル都市として注目されています。

和歌山県田辺市上秋津

https://agri.agarten.jp/worholi.html

和歌山県南部に位置する田辺市は9割以上が森林であるものの、近畿地方最大の面積を誇り、人口約7万人和歌山県第二の都市です。

市の中心部北側の山間にあるのが人口約3,000人上秋津地域。地形と気候を活かした段々畑での柑橘類の栽培が盛んな地域ですが、農業従事者の高齢化や減少の課題が深刻化しています。

そこでグリーンツーリズムによる地域の活性化を目指して2008年にオープンしたのが「秋津野ガルテン」です。移転後取り壊し予定だった旧上秋津小学校の校舎を、地元住民が中心となって出資することでリノベーションしたグリーンツーリズム施設。

地元食材「農家レストランみかん畑」や、「スイーツ工房バレンシア畑」をはじめ、訪れた人が「農」に触れられるコンテンツが盛りだくさんです。上秋津地域での農村ワーキングホリデー参加者は、この秋津野ガルテンに滞在し宿泊・食事をすることができます。

上秋津での農村ワーキングホリデー体験談

先述の通り、私は和歌山県田辺市にある上秋津地域にお伺いし、実際に農村ワーキングホリデーを体験してきました。簡単ではありますが、その様子をお伝えします!

上秋津は、人口3,000人程度の山に囲まれた地域。この地域には山の地形を活かした段々畑が多くあり、みかんをはじめとする柑橘類の栽培が盛んです。

和歌山でみかんと聞くと、「有田みかん」を思い浮かべる方が多いと思いますが、ここ「上秋津」のみかんもとても美味しいんですよ!

私は大学2年次と3年次の冬に、みかんの収穫や選果サンテ掛け(みかんを日光から守る布を被せる作業)などをお手伝いさせていただきましたが、この農村ワーキングホリデーに参加するまではほとんど農業とは関わりのない人生を送ってきたので、全ての体験が新鮮でした。

みかんの木が段々畑に並ぶ景色を見るだけでもテンションが上がりましたし、段々畑をトロッコのような農業用モノレールに乗って移動するのもワクワクしました。

農家さんにとっては「当たり前」の作業も、やったことがない私にとっては貴重な体験ですし、みかんが家庭に届くまでの過程に触れられたことも学びになりました。

また、作業中に農家さんとお話する機会も多かったですが、そこで農家さんが抱える課題をお聞きして一緒に考えたり、日常生活のたわいもないお話をする時間もとても楽しかったです。

逆に、農家さんにとっても私たちのような若い年代と会話をすることや、学生の生活を知ることはあまりない機会ということもあり、どんなお話にもご興味を持って聞いてくださりました。

この農村ワーキングホリデーを終えた後に感じたことは、「来る前よりもこの地域を好きになっている」ということです。それまでは縁もゆかりもなく、知ることすらなかった「上秋津」という地域が数日間の滞在と交流を通して「特別な場所」に変わっていました。私が思う農村ワーキングホリデーの最大の魅力はここにあります。

農家さんとの交流によって、その地域が参加者にとって「また行きたい」と思える特別な場所になるということを繰り返すことで、関係人口」の拡大にもつながります。実際に体験してみて、農村ワーキングホリデーが素晴らしい制度だと感じました!

農村ワーキングホリデーで農業とのつながりを

今回は、農村ワーキングホリデーについて、私自身の体験談も併せてご紹介しました。地域や農家と若者をつなぐ大きな役割を果たす農村ワーキングホリデー、興味を持たれた方はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

下記では、ワーキングホリデーよりもさらに”仕事”としての意味合いが強い「地域おこし協力隊」について解説しています。ご興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。

地域おこし協力隊とは?