こんにちは!地域創生ディレクターのゆうです!
今回は熊本県球磨郡多良木町の山奥にある槻木集落での稲刈りのお手伝いをしてきました。
山奥の限界集落であるこの地域では、農作業の多くが昔ながらの手作業で行われています。手作業ならではの大変さや難しさなども体験してきたので、そんな稲刈りの様子をご紹介します!
稲刈りは人手が必要
今回お伺いした熊本県球磨郡多良木町の槻木集落は、人口100人に満たない山奥の限界集落です。住人のほとんどが65歳の高齢者ですが、皆さんとても元気で日々農業や林業に勤しんでいます。
この地域では農業の工程のほとんどが手作業で行われており、特に大変だと言われているのが秋の「稲刈り」です。広い田んぼの稲を1〜2人の高齢者だけで刈り切るのはかなりハードです。
そこで立ち上がったのが私たち地域創生チームです。今回は地域創生ディレクター・デザイナー総動員で、稲刈りのお手伝いをしてきました。若いパワーで槻木の田んぼを駆け巡ります!
手作業の稲刈りの手順
今回挑戦したのは、鎌を使った手作業による稲刈り。近年では機械を使った稲刈りも多い中で、槻木ではこの手作業の稲刈りが主流です。
鎌を使った稲刈りの手順は以下の通りです。
- 鎌で根元から稲を刈る
- 刈った稲を束ねる
- 稲架(はさ)掛けをする
- 落穂拾いをする
鎌で根元から稲を刈る
鎌でひっかけて稲をまとめ、その束を左手で掴み、稲の根元の近くから刈ります。この時に注意すべきことは、左手で稲を掴む時は外側から掴むということです。内側から掴むと親指が下になり、刈り取る時に指を切ってしまう可能性があるため大変危険です。
この作業は基本腰を曲げた状態が続くので足腰に大ダメージです。まだ若いからと油断していると、終わる頃には歩くのがしんどくなるほど足腰がダメージを受けていました。
刈った稲を束ねる
刈った稲は10〜12株分で1つの束にして括ります。3〜4本の藁で稲の根本付近を1周させてねじりながら締め、ねじった藁を引っ張り、巻きつけた藁との間に隙間を作って差し込むと固定することができます。
これが初めてやるとなかなか難しくて苦戦しました。しっかり締められていないと藁が固定されなかったり、稲が抜け落ちてしまいます。何度かレクチャーを受けてやっとできるようになりました。
稲架(はさ)掛けをする
稲を刈り終えたら、竹や木でできた「稲架(はさ)」と呼ばれる台を田んぼに組んで、そこに束にした稲を掛ける工程を「稲架(はさ)掛け」と言います。
稲を稲架に掛ける際にはコツがあり、束を真ん中で割って掛けるのではなく、7:3あるいは8:2くらいの割合で割って互い違いに掛けていくとより多くの束を掛けることができます。
現在は大規模な乾燥機を使って急速に乾燥させる方法もありますが、槻木ではこの稲架掛けを使った天日干しが主流です。稲を刈り終えた後の集落は、一面に稲架掛けされた景色が広がっていてとても美しいです。
落穂拾いをする
稲架掛けを終えた後に忘れてはならないのが「落穂拾い」です。ミレーの有名な絵画でもあるあの落穂拾い。
稲刈りや稲架掛けの際に穂がいくらか田んぼに落ちてしまいます。これを集めるとお茶碗1杯分ほどのお米になりました。たかが1杯分、されど1杯分です。美味しいお米を作る苦労を知っていればなおさら放っておくことはできません。
一見地味な作業ですが、黙々と拾うのにハマる人もいて意外と楽しいですよ。
ぬかるみの中を歩く
今回の訪問の直前に雨の日が続いていたため、田んぼはぬかるんだ状態でした。気合い十分で臨んだ私ゆうですが、開始から間もなくハプニングが起きます。
ぬかるんだ田んぼに足がハマってしまい、長靴は田んぼの中に取り残され、素足で着地。「ピチャッ」という音と共に全てを諦めた私は、もう片方の長靴も脱いでその後の作業を全て素足で行いました。農業するなら土も泥も友達ですよね。まさに大地を踏みしめる感覚、最高です。
後からお聞きした話ですが、稲を刈った後の田んぼを歩く時は株の上を歩くとぬかるみにハマらないそうです。先人の知恵、素晴らしい。
腰と膝の痛みは最高潮に
稲刈りの一連の作業は、かがんだり立ち上がったりの動作の繰り返しです。「若いパワー」などと意気込んで臨みましたが、一日を終える頃には腰と膝の痛みはピークを迎えていました。
このようなハードな農作業を普段からほぼ毎日やっている槻木のおじいちゃんおばあちゃん達ってやっぱりすごいです。70代・80代になっても現役バリバリで働けるパワーの秘訣はこの農作業にも隠されているかもしれません。
笑顔と「ありがとう」のパワー
一連のハードな農作業を終えて、実際にどこまで私たちがお役に立てていたかは分かりませんが、それでも最後に「ありがとう」と言っていただけることはとても嬉しいです。
おじいちゃんおばあちゃん達の笑顔にパワーをいただいて、貴重な経験もさせていただいて、こちらの方こそ「ありがとう」です。
笑顔と「ありがとう」が持つパワーってすごいですよね。それだけで「明日も頑張ろう」って張り切ってしまいます。
お米のありがたみを改めて実感
今回は手作業の稲刈りを体験してきました。普段当たり前のように食卓に並んで食べているお米ですが、生産の過程を知るとありがたみを改めて実感します。
稲刈りだけではないその他の工程も含めてたくさんの苦労があってやっと家庭に届くものだと思うと、お米の1粒も無駄にできないですよね。
そんな農作業の大変さ、食べ物のありがたさ、そして槻木のおじいちゃんおばあちゃん達の元気さを噛みしめた体験でした!刈り取ったお米が新米として食べられる時期が楽しみです、、!